つまり、平均律で調律されたピアノは、ごくわずかな不協和音を全域に含みながら全体のバランスをとっているといえるのです。
これを数学的に現すとこんな感じ。オクターブは「2の12乗根の12乗」ということでピッタリの「2」となって完全なオクターブが実現されていますが、それ以外の5度や4度、長短3度はいずれも理想値である倍音からは微妙に上下にズレている音となっていることがわかります。 これはピアノ弾くと微妙な音の「ズレ」となって感じられることがあります。ほとんどの場合はこのズレが気にならないように調律されていますが、和音を引くとほんのわずかに音の「うねり」が感じられることがあります。多くの場合はピアノは「平均律」で調律が行われています。これは、市販されているチューナーや電子楽器でも同じことがいえ、基本的には平均律に従ってチューニングを行ったり、音程が設定されています。ただし、一部の機材では平均律以外の音階を設定できる機種も存在しています。
このように、ピアノではオクターブを基準としていわば「つじつま合わせ」ともいえる状態で調律が行われていることが理解できました。しかし、ここには非常に大きなメリットが存在していることを忘れるわけにはいきません。平均律で調律された楽器は12音階が等しく響き合うように調整されているため、どの調で演奏しても同じ響きが得られるようになっています。これにより、さまざまなキーで演奏される音楽にもスムーズに対応できるという大きなメリットが存在しているのです。 なにげに弾いたり聴いたりするピアノの音にも、このような背景が隠されています。次にピアノを弾いたり聴いてみたりする時は、この隠された真実に耳を傾けてみると、また違ったピアノの味わい方や魅力が感じられるのかもしれません。
平均律と言う言葉は知ってたけど、中身はこんなだったのかぁ。