県と東急による連携が始まったのは2013年から。東急のグループ企業と新潟県内企業がBCP(企業の事業継続)などで相互に連携したり、東急系の流通企業が県産品の販売促進を行ったり、東急のグループ会社が新潟県内企業の提供する災害食を採用したりといった取り組みがこれまで行われてきた。また、渋谷スクランブルスクエア内にある会員制の共創施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」に県内企業のスタートアップ拠点を構築し、起業・創業関連の各種イベントを実施するといった取り組みも行っている。個々の連携から包括連携に至った背景について、花角知事は「もう一段踏み込み、もっと連携してお互いに成長しようという考えに至った」と話す。「新潟の発展のためには住む場所、働く場所として人や企業から選ばれなくてはならない。同時に、新潟の持つ価値や資源も東急沿線のお役に立てるのではないか」。
今後の取り組みとして両者が期待するのが防災関連。髙橋社長は「新潟県は首都圏とのアクセスがよいことに加え、日本海側に位置しているため首都圏と同時に被災する可能性が少ない」として、持続的物資輸送体制の構築や防災研究における教育機関や研究機関の連携などを推進したいとする。災害時における企業の事業継続は事前の備えが欠かせず、このような取り組みは間違いなく必要である。とはいえ、“包括的”という部分にほんの少しだけひっかかりを感じた。その理由は東急と新潟県という組み合わせにある。包括、つまりさまざまなものをひとくくりにするのであれば、肝心なものが抜けているのではないか。
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