東大教養学部理科3類2年の杉浦蒼大(そうた)さんが4日、都内で「東京大学における新型コロナ感染学生に対する不当な留年措置とハラスメントについて」と題した会見を開いて自身の単位不認定となった事例を公表し、大学側へ留年決定の回避や、救済措置の整備を求めた。
今年4月から5月にかけて必修の実験科目(全6回)をオンライン受講していたが、5月17日にコロナに感染して同日の授業を欠席。24日も中等症の症状が続いていたため欠席した。午後1時開始の同授業は、コロナに限らず当日午前11時までに欠席届提出の独自ルールがあったが、期限後の25日に両日分を提出。24日分は代替措置がとられたが、17日に対しては担当教員から時間が大幅に経過していることを理由に補講が認めらなかったことで単位を落としたと、杉浦さんは主張した。「コロナ感染した過失なき学生の教育を受ける権利が奪われている現状をご理解いただきたい」。 また、成績が発表された6月17日以降に、同科目の成績の下方修正が行われ、合格点の50点以上だった自身の点数が大幅に減点されたことも主張した。「どちらに対しても教員、大学側から説明を一切行わないなど、明らかに不合理で問題ある対応」と説明責任を強く訴えた。先月28日には東大ハラスメント防止委員会に救済申し立て、教養学部長に留年回避要請を提出している。回答期限は今月10日となっており、回答の内容次第では裁判を起こすことも検討している。同科目1単位の未取得で留年となれば、希望する医学部に来年度から進むことができなくなるだけでなく、学費や生活費も1年分多く負担することとなる。
同大の同学部等総務課の担当者は会見後、「当該科目は総勢16名の教員からなる集団指導体制で運営されています。今回不合格になったことは各回の出席状況やリポートの内容等の評価による結果であり、5月17日の欠席によるものではありません」と説明し、正当性を強調。一方、成績の下方修正に関しては「5月17日の回の評点について誤って杉浦さんと他の学生の評点が入れ違って入力されたことにより、本来の点数より高い評点がついてしまったことが判明したため、修正されたものです。このミスについては、当方は非を認め、近日中に再発防止を含めて説明する予定です」と言及した。【鎌田直秀】▽同5月17日 39度を超える発熱、呼吸困難、咽頭痛、倦怠(けんたい)感、その他の重篤な症状があり、中等症以上の症状で、1人暮らしの自宅でコロナ発症。連絡をしないまま授業を欠席。▽同25日 担当教員に対し、電子メールでコロナ感染による17日と24日の欠席について報告。教員からは17日の授業については日数が経過しており補講を認めず、24日の授業については補講措置のリポート提出指示。診断書の提出も求められていた。▽6月17日...
▽同19日 担当教員に「成績確認願」で、教養学部長と教務課には内容証明郵便にて、重篤な症状で欠席手続きが出来なかったことや診断書未提出に正当な理由があることを説明し、5月17日の欠席に対する補講を認めない対応の撤回を要求。▽同24日 19日の「成績確認願」申請後に、基礎生命科学実験において、17日に発表された成績に大幅な下方修正が行われていたことを確認。教務課からは適正な修正である回答も、教員や教務課から具体的な説明はなし。
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