――長編小説『死にがいを求めて生きているの』は、3月に刊行された朝井リョウさんの最新作だ。作品を手がけるきっかけは、朝井さんや伊坂幸太郎さんなど、8組の作家がさまざまな時代の「対立」をテーマに作品を描く、という企画に参加したこと。この中で朝井さんは平成を担当することになった。
「従来の幸せの形ではなく、『自分の幸福を追い求めていこう』ということであったり、いろいろな役割から解き放たれて、『自分の長所を伸ばしていこう』といった風潮が今やっと強まってくれたと感じます。多様性という言葉が市民権を得ることによって、これまで諦めてきたさまざまなことを諦めなくてよくなるという点は、本当に100パーセント素晴らしいことだと思います。ただ、今は多様性という言葉のあまりに強い光によって目が潰されている部分がある気もしています。私はもともと、光が当たっている所に生まれる影みたいなものを感知したくなる癖があって、すばらしさの裏にある地獄をかき分けて見に行ってしまいたくなる習性があるんです」
「今作のキーとなる重要人物は国立大学に通っていますし、家庭も特に貧困層というわけではありません。友人もいるし、周囲の人から恋愛感情を向けられる章もあります。だけど心の内側に煮えたぎる何かを抱えており、それが作品全体を貫く毒素となっています。彼のプロフィールだけ抽出すると、悩みなんてなさそうですよね。プロフィールだけ抽出して外側から見ると」 「家族もいない、仕事もない、友人も恋人も何もない、自分の存在をどうしても実感できない――そう思い悩んでいたとき、『多様性の社会だからそれでいいんだよ』なんて言葉を投げかけられたら、私はその人のことを傷つけてしまうかもしれない。多様性なんてどうでもいいから数値化できる生産性をくれよ、と、思わない自信がない」「今こうやって私がインタビューをしていただけているのは、私に特別なことを発見する力があるからではなく、実感をもって書いたことを『新時代の感性!』みたいにもてはやしてくれる人がいたおかげだと思っています。私の小説はこれまで文献として読まれてきた感覚があるんです。内容そのものを楽しむというよりは、その世代の人がその世代から見た今を書いているんだからチェックしておこう、みたいな。ようやくその席から立つときなんだろうなと思っています」
「私は多様性という言葉から、自分で自分のことを決めていい快適さと同時に、自分で自分の意義や価値を見出していかなくてはならない地獄も受け取った実感があります。」
テレビを見ないという選択を認めない、NHKという多様性を拒む独裁放送局。
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