Kindle Scribe（税込4万7980円。スタンダードペン付き、16GB）は10.2インチの電子ペーパーを搭載するタブレット型のデバイスだ。本体の厚さは5.8ミリと薄型で、質量は約433g。同じサイズの液晶ディスプレイを搭載する第9世代iPadのWi-Fiモデルよりも約54g軽く、片手で持ちながら扱いやすい。本機が採用する「電子ペーパー」とは、微粒子サイズのマイクロカプセルを無数に敷き詰めた反射型表示媒体だ。専用のデジタルペンでタッチ操作に対応するディスプレイをなぞると、白と黒の帯電顔料が詰まったマイクロカプセルに電圧がかかり中の顔料が変移。ペン先の軌跡が文字や線などの図形に変わる。
液晶ディスプレイのようにバックライトを持たず、紙のように外光を利用して画像を表示する電子ペーパーにはいくつかの特長がある。1つはバックライトを必要としないため、搭載するデバイスを軽くスリムにつくれる。そしてバッテリーもより長く持つ。Kindle Scribeの場合、内蔵バッテリーをフル充電にした状態から数週間使えるスタミナを備えているという。筆者は本稿を執筆している現在、Kindle Scribeをフルに充電してから4日間連続で試用しているが、バッテリーの残量は70％前後をキープしている。 バックライトが常時明滅している液晶や、自発光型のディスプレイデバイスである有機ELに比べると、電子ペーパーは発光をともなわないため「目が疲れにくい」新しい世代の電子書籍リーダーKindleシリーズを試したことがある方ならば体験済みかもしれない。
さらにKindle Scribeは電子ペーパーに「書ける」機能を加えた。電子ペーパーのもう1つの魅力は、鉛筆やペンで紙に文字やイラストを書く感覚に似た、心地よい筆記感が得られることだ。より滑らかな書き味を実現するために、デジタルペンやタッチディスプレイの感度も含む製品全体の練り上げも欠かせない。Kindle Scribeは専用のデジタルペンによる書き味も滑らかだ。ハンズオンの成果は後ほど報告する。
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