やはりライバルらしく、時代に応じて両校の評判は変化している。1980〜90年代前半は早稲田と慶應の両方に合格した学生の多くが早稲田に進学したが、その後、形勢が逆転。慶應の時代が到来し、そこから20年余りは多くの「W合格者」が慶應に進学した。そしてここ数年で見ると、早稲田が急速に盛り返してきている。片時も目が離せない熱い戦いが展開されている。本稿では、2024年現在の両校の実力をさまざまな視点から検証していきたい。2023年入試におけるW合格者の進学先は以下のようになった(図表1)。
早稲田39.1%に対して慶應が60.9%と、全体の傾向としては慶應に進学するW合格者が多い。一方、経済、商、文など「文系の主要学部」においては早稲田が優勢だ。法学部に関しては慶應のほうが強いなど、学部ごとに特徴があるのが面白い。 また、「文系の主要学部」においては早稲田の割合が大きいものの、早稲田は慶應と比べて「下位学部」と呼ばれる学部が多く(早稲田にはなんと13もの学部がある)、そこと慶應にW合格した場合はほぼ全員が慶應に進学するため、全体で見ると慶應優勢になっているのだと考えられる。受験のメイン層が難関国立大の併願組となったことが影響して、超難関校からの進学者も増えている。今年、日本一の進学校とも言われる筑駒こと筑波大附属駒場からの早稲田大学進学者数は16名で、東大に次ぐ多さであった(慶應は9名)。
一方で、慶應経済には「B方式」という、数学を使わずに受験できる入試方式も残されている。プライドが高い超進学校の生徒たちは数学を捨てた「限界私文」と一緒にされたくないという思いがあるため、早稲田政経への優先的な進学につながっているのかもしれない。大学の人気を左右する要素として、卒業後の進路は大きい。続いては、早慶の主な就職先を見ていきたい。就職については、慶應のほうが良いというイメージが巷で蔓延しているが、実際のところどうなのだろうか。もちろん「難関企業」はこれ限りではないが、定義が難しいため優秀層に人気の4業種を指標とした。おおよその難関企業輩出率のベンチマークになるからだ。括弧内は卒業者(進路報告者)数になる。電博4(電通2、博報堂2)
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