第1に実力ベースの利益(事業利益から在庫評価差〈下記の用語解説参照〉などを除いたもの)が向上していること。中核の本体国内製鉄事業について、損益分岐点が改善している点が大きい。ひも付き(国内大手顧客との取引)のマージン改善や(国内高炉の閉鎖などによる)固定費の削減などで、2019年度と比べて損益分岐点が4割ほど下がっている。外部環境に左右されない収益構造の構築に努めてきたが、その取り組みが正しかったと自信を深めている。原料在庫を総平均法で評価している企業の場合、原料価格の上昇局面では以前に仕入れた安い原料が会計上の原料単価を引き下げるため、当期の調達価格と差が生じる(会計上の原料単価が安くなる)ことで利益が大きくなる。
これは会計上の実現益だが、原料相場の変動による時間差から生まれる利益であるため、鉄鋼業界では『実力』ではないとして在庫評価差を除く利益が重視される。原料価格の下落局面では逆に利益にマイナスに働く。「棚卸資産評価差」ともいう。
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