<女性、部族、官僚、宗教の問題を笑いの標的にした喜劇が、なんとサウジ国営テレビで放映され、大人気だった。「テロリズム・アカデミー」なるエピソードもあり、前国王も大ファンだったという。サウジ社会が変貌を遂げる前の話だ>
サウジアラビアの著名な演出家アブドゥルハーリク・ガーニムがダンマームの病院で死亡した。63歳だった。しばらくまえから、前立腺癌で長期にわたって闘病中である様子がメディアで報じられていたので、多くのファンが心配していたのだが、結局、復帰はかなわなかったようだ。慎んでご冥福をお祈りします。 といっても、大半の人にとって、アブドゥルハーリク・ガーニムっていったい誰?という感じであろう。しかし、彼はサウジアラビアではもっとも著名なテレビ演出家の一人とみなされており、知らない人はいないという存在だ。 代表作は1993年から毎年ラマダーン月にサウジ国営テレビで放映され、サウジアラビアのみならず、アラブ世界全域で大人気となった『ターシュ・マー・ターシュ』である。とはいえ、この作品だって、日本ではまったく知られていない。その地獄では、サウジ人は清潔なベッドとテレビのある瀟洒な部屋に入れられる。しかも、おいしい食事が3食提供される。これのどこが地獄なのかというと、そのテレビはサウジ国営テレビしか映らない、というのがオチだ。たまにハリウッド映画を放映したりするのだが、その場合も、ヌードはもちろん水着の場面も全カットされ、さらに酒を飲んでいる場面もご法度ということで、ズタズタに編集されてしまう。
お金をもっている人たちは、衛星放送で欧米の番組をいろいろ見られるのだが、私が住んでいたアパートはサウジ国営テレビとCNNぐらいしか映らず、ほとんどそれで満足しなければならなかった。そうした状況のなか登場したのが『ターシュ・マー・ターシュ』だったのである。「ターシュ」は、アラビア語で「炭酸飲料から泡がシュワシュワと噴きでる」ことを意味する。「マー」は否定辞で、したがって「噴きでるか、噴きでないか」といった意味になる。実際には何本かのコーラかなんかの炭酸飲料の瓶をシャカシャカと振って、どの瓶が噴きでて、どの瓶が噴きでないかを当てるという他愛ないゲームだ。【話題の記事】
ほえ〜。観てみたい!
YouTuberより酷いかもな
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