15日に発表された米消費者物価指数(CPI)がインフレ圧力後退の可能性を示唆し、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に利下げに踏み切るとの見方からドルは幅広い通貨に対して売られた。円は主要通貨の中で最大の上昇幅となり、16日には日本の1-3月期国内総生産(GDP)が予想以上に落ち込んだにもかかわらず、対ドルで一時0.8%上昇した。
マーケット・リスク・アドバイザリーの深谷幸司フェローは、足元の円高進行で「介入のリスクは減っている」と指摘。日本の政策当局が想定よりも早く円安阻止の方向に動く流れが強まっており、これは円にポジティブだが、円反発の最も大きな要因は「米国。特にFRBの利下げの可能性だ」と言う。 円相場はここ数週間で大きく変動し、4月下旬には1990年以来となる1ドル=160円を超す円安・ドル高に振れた。日本の財務省幹部が過剰な動きには介入する姿勢を幾度となく繰り返し、日銀が追加利上げの可能性に含みを持たせても、結局のところは米国の経済指標と金融政策が円相場の主な原動力であることを一連の動きが示唆している。 ここまでの円売り・ドル買いを促してきたのは日米の絶対的に大きい金利差だ。しかし、米インフレ統計の鈍化をきっかけにこの差がやや修正され、米長期金利の低下に連れて円が上昇した22年後半のデジャビュ(既視感)になりつつある。ブルームバーグのデータによると、日米の10年債利回り差は3.4%ポイントを下回り、直近2カ月で最も小さい。 三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは「今までは絶対的に円じり安だったが、弱い米CPIを受け、年内の利下げというFRBのシナリオ通りになってきている」と話し、弱い米経済指標が続けば、「円高方向に値幅が出やすい」とみている。 スワップのデータを見る限り、日銀が13日の国債買い入れオペで購入額を予想に反し減額したことをきっかけに、市場では3月に行った2007年以来の政策金利の引き上げに続き、7月に再利上げに踏み切るとの見方が強まっている。
日本の1-3月期GDPの落ち込みを受け、金融政策見通しを反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)で7月の利上げ織り込みは15日の70%からはやや低下したものの、依然として約63%となっている。国債市場参加者は17日に行われる日銀の定例の国債買い入れオペで再び購入額を減らすかどうかに注目している。政府・日銀の政策目的に摩擦生じないよう密に意思疎通する-鈴木財務相FX投資家もついに円弱気、ドル買い・円売り比率が今年最高
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