完全試合を達成した投手16人の中に、1人だけ「阪神OB」がいる。ロッテ在籍の73年10月10日の太平洋(現西武)戦で偉業を達成した、八木沢荘六投手だ。御年77歳。今季4月10日に史上16人目となった、ロッテ佐々木朗希の大先輩だ。プロ野球の監督やコーチに現役時代の話を聞こうとすると、大きく2パターンに分かれる。「よくぞ聞いてくれた」とばかりに、喜々として語り始める人。そして「古い話はもういいよ。話は選手に聞いてよ」と苦笑するタイプだ。
八木沢氏は典型的な後者といえる。現場記者時代に私は、何度か現役時代の話を尋ねた。八木沢コーチには、そのたびに「終わった話は、もういいでしょう」とかわされた。それでもあるとき、自身の完全試合の話を聞き出すことに成功した。当日はダブルヘッダー。第1試合先発予定の村田兆治投手が寝違えて、首を痛めた。そこで、第2試合に備えていた八木沢氏の登板が早まった。予定通りの登板順だったら、快挙はあったかどうか。運はここにもあったのかもしれない。「投手に対し『あそこに投げるな』と指示をしてもろくなことはありません。『打者の得意な付近を、ボール球を使って攻めろ』と伝えるべきなんです。特定のコースを使わない、ということは、投げる場所を半分に減らすことになりますから」
歴史的な不成績の続く阪神投手陣に、八木沢元コーチの教えは息づいているだろうか。球団からはいまだ、完全試合を成し遂げた投手は出ていない。何もパーフェクトまでは望まない。プラス思考で真っ向勝負を挑み、反撃に移ってほしい。
日本 最新ニュース, 日本 見出し
Similar News:他のニュース ソースから収集した、これに似たニュース記事を読むこともできます。