これまでのシミュレーションは計算上の制限によって2次元的に行われていたそうですが、今回の調査においては300回近い3Dシミュレーションが行われ、今まで注目されてこなかった「小惑星衝突の角度」にも注目したと研究チームは述べています。
その結果、約6600万年前に衝突した小惑星は、およそ60度の角度で地表に衝突したことが判明。また、この衝突時のエネルギーは広島に落とされた原子爆弾およそ10億発分だったとのこと。吹き飛ばされた地上の岩や堆積物は太陽光を遮り、数十億トンもの硫黄を含んでいたために大気成分が大きく変化し、気候変動に大きな影響を与えたと考えられます。 また、衝突後にクレーターがどのように隆起したのかも検証されました。シミュレーションによると、衝突から20秒で半径40km・深さ30kmもの穴が地表に空いたものの、およそ3分後には地表が隆起して山を形成し、衝突5分後にはクレーターは深さ30kmの穴が埋まってしまう結果となりました。
これまでの研究では、およそ6600万年前に衝突した小惑星は、地表に対して垂直に近い角度でぶつかったと考えられていました。しかし研究チームによれば、小惑星が地表に垂直に近い角度で突入するよりも、およそ60度で突入する方が地表の生き物にとって致死性が高いとのこと。研究チームは「むしろ垂直に近い角度で突入していたら、恐竜は絶滅を免れた可能性もある」と述べました。
衝突が30秒早いか遅いかなら衝突地点は海上となり恐竜は絶滅しなかったというシミュレーションもある