「エール」は主人公の作曲家古山裕一が生み出す音楽がドラマの柱だが、もう1つのテーマは夫婦愛だ。窪田によると、モデルの古関裕而さん夫妻は、お互いに年賀状を出し合うほど、夫婦仲がよかったという。それだけに妻の音を演じる二階堂ふみとは、話し合いながら夫婦を演じているという。
「子どもができて、お父さんとお母さんになりましたが、ふみちゃんとは、スキンシップや触れ合ったり、積極的に取り入れていこうと、話し合っています。子どもができたけど、子どもを理由にはしたくないと。(子どもの)華ちゃんがいるときと、いないときでは結構、違っていたりする。年をとっても落ち着いている夫婦ではなく、いつまでも心若い2人でいようと話しています」。「志村さんとは数シーンしかなかったのですが、現場でも『朝ドラは大変?』などと気さくに声をかけてくださりました。志村さんに出ていただけたことで、裕一も背筋がピーンと伸びる感じで、作品も引き締まったと思います。志村さんが演じていると、自分がいかに未熟なのかと思い知らされます。志村さんのひと言で、そのセリフの持つ背景が勝手に見えてきてしまう。役者であるとか、芸人であるとか、そういうことではない芝居を見せていただきました」。
古関さんは数千を超える曲を世に送り出してきたが、ドラマではその膨大な曲の中から選択している。どの曲が印象に残っているのかを選ぶのは難しいが、窪田は熟慮した後、「栄冠は君に輝く」を挙げた。自らも野球をやっていて、テレビ朝日系「熱闘甲子園」のVTRのBGMで同曲がかかっていたのが忘れられないという。 「ちょうど松坂選手が投げていた横浜-PL学園戦を、同じく野球をやっていた兄と正座しながら見ていました。その夜に熱闘甲子園を見て、『栄冠-』が忘れられません。負けた人や頑張っている人への音楽なのだと思います、野球だけでなく、一生懸命な人に向けた曲なのではないかと思います」。【竹村章】
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