広島は14日の楽天戦で延長11回の末に1―0で競り勝ち、17年以来の交流戦勝ち越しへ王手をかけた。11回に二俣翔一内野手(21)がプロ初マルチ安打を決める右前打で起点。代走の羽月隆太郎内野手(24)が三盗を決め、矢野雅哉内野手(25)が右犠飛で応えて2試合連続の勝利打点を記録した。新井貴浩監督(47)が掲げる一丸野球で2位・阪神に今季最大3ゲーム差をつけ、リーグ戦再開を首位で迎えることも確定した。「若い選手が食らいついて、もぎ取った1点。“戦いながら強くなっていく、成長していく”と言っているけど、本当に若い選手が成長してくれているなと感じる試合だった」
3度目の満塁をしのいだ直後の11回。二俣が追い込まれてからしぶとく右前へ打ち返して突破口を開いた。6回の二塁打と合わせてプロ初のマルチ安打。代走・羽月は秋山の犠打で二進後、矢野の打席の2球目に三盗を成功させた。代走を主戦場としながら今季は過去8度の企図で4度の盗塁死。けん制死など手痛い失敗がある度に新井監督からは「次もいけ」と背中を押されてきた。事前に投手の映像を何度も確認。DeNAとの昨秋CSファーストSを再現するような必殺の三盗が決まった。新井監督は切り札の代打・松山ではなく矢野に託した。「何とかしてみろと思っていたら、何とかした。素晴らしい」。防戦一方で走者を三塁へ進めたのも11回が初めて。好機をつくった二俣と羽月についても「追い込まれながらよく食らいついたし、あの場面でスタートを切って決めた羽月の準備、勇気が素晴らしかった」と褒め称えた。
10回零封の早川には6投手の継投で対抗。特に10回は左腕2人で切り抜けた。森浦のチェンジアップが右打者に有効という根拠に基づいた起用に迷いはなかった。22年まで開催3年連続最下位など「鬼門」と言われた交流戦。勝率5割で乗り切った就任1年目の昨季に続き、勝率5割以上が確定した。7年ぶりの勝ち越しに王手だ。(長谷川 凡記)
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