市販化前進のアフターピル 専門家は「より安く、より速く買えるように」

性交直後の服用で望まない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬（アフターピル）」の市販化に向け、医師の処方箋なしでの薬局販売の試験運用が今夏から始められることになった。薬局での一般販売は平成２９年にも検討されたが、薬剤師の知識不足や乱用の懸念などから見送られた経緯がある。専門家は性暴力や避妊の失敗など「女性の側で意図しない妊娠を防ぐことができる重要なツール」として、市販化の意義を強調した。

緊急避妊薬は性交後７２時間以内に服用すれば、８０％以上の確率で妊娠を防ぐことができるとされる。日本では平成２３年に承認されたが、医師の診察を受けて処方箋が必要。一方、海外では約９０の国・地域で処方箋なしでの購入が可能で、昨年１２月末から今年１月まで実施されたパブリックコメントでは４万６３１２件の意見のうち市販化賛成が９割以上を占めた。 緊急避妊薬のオンライン診療をいち早く行ってきた「ナビタスクリニック川崎」（川崎市）の久住英二院長によると、緊急避妊薬の成分は、排卵を抑制するプロゲステロン（黄体ホルモン）として体内で作用するレボノルゲストレル。副作用は少なく、誤って妊娠中に服用した場合でも胎児に影響はないという。

服用が早いほど効果が高いが、現状では土日に病院が休診のため時間が経過してしまい、期待通りの効果が得られない場合が多いと推測されるという。また、公的医療保険の対象外で価格が平均約１万５０００円と高額なことも課題としてあり、久住院長は「より安価で、夜中でも休日でもすみやかに購入できる体制を整えることが重要」と訴える。

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