力が凝縮されていた。2位で迎えた2回目。高く、力強く踏み切った小林陵は、不利な追い風の中で1回目より50センチ飛距離を伸ばした。1回目首位だったリンビク(ノルウェー)には重圧がかかり、飛距離を落として着地まで乱れた。1回目で飛距離換算にして約3メートル差をつけられていた強敵を鮮やかに逆転し、「リンビクは公式練習や予選からいいジャンプをしていて、本当に強い相手。勝ててうれしい」と声が弾んだ。
ジャンプ週間は開幕3連勝。「3」には大きな意義がある。平成以降、五輪シーズンのジャンプ週間で3勝以上挙げたのは、直近の18年平昌シーズンのストッフ(ポーランド=4勝)ら4人。この4人は全員、直後の五輪で金メダルを手にしている。ジャンプ週間は、小林陵の“師匠”でもあるレジェンド、葛西紀明(49)=土屋ホーム=が、「ジャンプをやっている人なら、どんな選手でも勝ちたいなと思う試合」と形容するほど、重要な大会でもある。大一番で輝ける心の強さが、一発勝負の五輪の成績に直結するのは自然なこと。決して偶然ではない“黄金ルート”に、小林陵は乗った。 W杯通算勝利数でも、男子でA・フェルダー(オーストリア)に並び歴代8位の25勝に到達した。充実の飛躍を続ける25歳は、「今、どうしてこれだけかみ合っているのかは分からないけど、自分がこうしたいと思うジャンプをしているだけ」。世代屈指のジャンパーは、歴代でも屈指のジャンパーへ、着実に階段を上っている。(細野 友司)
◆ジャンプ週間 1952―53年シーズンに創設。年末年始の8日間にドイツ、オーストリアで集中開催され、4試合で争われる。W杯も兼ねており、順位はW杯の総合ポイントにも加算。97―98年には船木和喜が3勝して日本人初の総合優勝を飾った。▽個人戦 W杯個人総合ランキング(5日時点)でトップを快走する小林陵が、金メダルの最有力候補。今大会2位のリンビク、昨季個人総合王者のグラネル、平昌大会で個人戦2つの銅メダルを手にしたヨハンソンら、ノルウェー勢も好調。ドイツ勢では、今季W杯開幕のニジニタギル大会を制したガイガー、ここ一発の大ジャンプを秘めたアイゼンビヒラーも力がある。◆五輪シーズンのジャンプ週間で3連勝した日本人選手の最終戦▽船木和喜 97―98年に3連勝も第4戦は120メートル、110.5メートルで8位。合計944点で日本人初の総合優勝を達成し、翌月の長野五輪ラージヒルで金メダルを獲得した。
◆小林 陵侑(こばやし・りょうゆう)1996年11月8日、岩手・八幡平市生まれ。25歳。柏台小1年からスキーを始め、盛岡中央高2年の2014年に国体複合優勝。15年に土屋ホームに入社し、ジャンプに専念。18年平昌五輪個人ノーマルヒル7位、ラージヒル10位。18―19年はジャンプ週間で史上3人目の4戦全勝を果たすなど、W杯13勝で日本人初の年間王者に。W杯通算25勝。173センチ、60キロ。家族は両親と、いずれもスキー選手の兄・潤志郎、姉・諭果、弟・龍尚。
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