1990年代に書かれた海外旅行記を読んでいると、「一日一事」という言葉を目にすることがある。バックパッカーなど長期にわたって旅をしている人たちの間で使われるもので、一日に一つのことをしたらその日の予定はもう終了という意味だ。だから「今日は列車のチケットを買ったから終わりにしよう」といった具合に、なるべく早く一日を切り上げるのだ。
しかし、インターネットがまだ普及していなかった90年代は、おそらく列車のチケットを1枚取るだけでも、それなりの労力がかかったのではないだろうか。まず宿にいる誰かに旅行代理店の場所を聞き、バイタク(バイクタクシー)のオヤジと値段交渉をし、Googleマップもないので目的地にたどり着くだけでも一苦労だ。 バイタクのオヤジも途中で面倒臭くなって適当なところで降ろそうとするかもしれない。チケットの受付カウンターには現地人が大量にいて、順番を守るという概念すらない。だが、誰もがスマホを持っている今の時代、列車のチケットなんてベッドに寝転がりながら5分もあれば予約できてしまう。 そんな便利な時代にありながら、ラオスのルアンパバーンに到着した当時(2016年)の私は、「一日一事」さながらの堕落した旅行者になってしまった。中国、ベトナムと自転車で走り抜けてきた。ルアンパバーンの立地もよくない。周囲を見渡せばどこも山。谷底にある世界遺産の町から自転車に乗って出ていく気がまったく起きないのだ。復旧後、2日ほどまったりした後、「赤十字」というサウナに行った。日本の一般的なサウナとはまるで違う様子で、スチームサウナ一択。しかも信じられないくらい熱いうえに水風呂がなく、無料で飲めるお茶がホットだった。
次の日は町を一望できるプーシーの丘に登った。メコン川と夕日のセットは大変美しかったが、それよりも気になったのは、岩の上であぐらをかきながらスマホの画面を連打する僧侶だった。後ろからのぞくとシューティングゲームで敵を倒しまくっていた。■國友公司(くにとも・こうじ) ルポライター。1992年生まれ。栃木県那須の温泉地で育つ。筑波大学芸術学群在学中からライターとして活動開始。近著「ルポ 歌舞伎町」(彩図社)がスマッシュヒット。
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