もうひとつ重要なアライメントの要素がキャンバーだ。これはタイヤの傾きのこと。レーシングカーやスタンス系カスタムのクルマが「ハの字」になっているのがネガティブキャンバー。現代ではめったにないが、大昔のT型フォードのようなクルマのようにタイヤが正面から見て「逆ハの字」になっているのをポジティブキャンバーと呼ぶ。レースでは激しくコーナリングするのでやはりネガティブキャンバーを付けておかないと、接地面が減ってグリップを失ってしまう。しかし、サスペンション自体がそれなりに引き締められていてロール量が以外に少ないので、ものすごいネガティブキャンバーにしなくても良い。むしろ、サスペンションがソフトで車高が高く、重心も高くてロールしやすいクルマほどネガティブにしたくなるのだ。安全に走るにも、速く走るにも極めて重要なアライメントだが、静止状態だけで判断してもあまり意味がない。サスペンションは沈み込むことで、そのアライメントが変化してしまうし、変化するように設計されている。自動車メーカーではとにかくスピンをしないように設計されている。コントロールを失ってスピンするくらいなら、アンダーステアでガードレールに
そのため車種によって異なるがほとんどのクルマで沈み込んでいくとリアタイヤはトーインになる。フロントタイヤはどちらもあるが、いずれにせよブレーキや加速で沈み込んでいくと数値が変化するので、静止時で数値だけで考えてもほとんど意味がないのだ。 86/BRZワンメイクレースでは、リアタイヤをトーアウトにすることが多く、それはそれはとんでもないトーアウトでこんなの乗れるの!? というような数値。トーアウト10mmなどだったが、サスペンションが柔らかく、タイヤのグリップが高いのですぐに大きく沈み込んでしまうので、実際に走っているときはほぼトーはゼロくらいになっているという。