大学では、ワクチンの職域接種をいち早く進めて、留学希望の学生のほとんどが2回の接種を済ませたほか、渡航先の感染拡大状況や現地の大学での受け入れ態勢の整備など、独自に設けた基準を満たしたとして、今月からアメリカへの留学を本格的に再開させました。外務省は、アメリカへの渡航については「渡航中止勧告」を出していますが、大学は、現地で新型コロナに感染した場合などに、24時間相談に応じるコールセンターを設けるなどして、学生たちのサポートに当たるとしています。
近畿大学国際学部の藤田直也学部長代理は「留学のために近畿大学に進学する学生は多く、ニーズに応えるため安全を確保したうえで留学を再開した。社会が大きく変わる中で、ピンチをチャンスにいかし、アメリカでダイナミズムを感じてほしい」と話していました。国際学部の学生は全員、1年生の後期から1年間、海外に留学することが卒業の要件となっていて、本来なら、去年9月に出発する予定でしたが、入学直前の去年3月に留学は無期限休止となりました。松葉さんは「留学がいちばんの目標だったのでショックでした。モチベーションを保つのは難しく、思い描いていた大学とは違うと思っていました」と振り返っていました。そして、ことし7月、留学先の大学の受け入れ態勢が整ったなどとして、ようやく出発が決まりました。
近畿大学では、関西の大学では、いち早く学内でのワクチンの職域接種を導入し、松葉さんも先月までに2回の接種を終え、今月17日には、出発前72時間以内に行うPCR検査で陰性を確認し、ようやく旅立つ準備が完了しました。出発の当日、空港には仙台市の実家から両親も見送りに駆けつけました。松葉さんは「新型コロナの感染やアジア人への差別など不安はありますが、アメリカの大学では、海外の留学生と一緒に協力して英語を勉強し、上達させたいです」と話していました。「感染症危険情報」は「レベル1」の「十分注意」から「レベル4」の「退避勧告」までの4つの段階を設けています。また、入国に際して、多くの国が一定期間の隔離を求めていて、海外への渡航には依然大きな制限があるのが実情です。
一方、文部科学省はことし6月、全国の大学などに周知を行い、国内外でワクチン接種が進んでいることから、感染した場合の現地での医療体制を確認していることや、学生に現地の感染症危険情報のレベルを理解させていることなどを留意したうえで、留学支援制度の奨学金を活用した留学を再開するとしました。 関西の大学では、大阪大学が先月末から留学を再開させ、学生十数人がアメリカやヨーロッパなどに渡航したほか、関西大学でも今月からおよそ30人がヨーロッパなどへの留学に出発したということで、広がりを見せ始めています。
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