ペットが欲しいだろうか? イヌかネコなら飼ってもいいかも。買い物のままならない人に食品を配達するミールズ・オン・ホイールズの運転手がその日のランチといっしょにペットを届けてくれた。運転手はペットを紹介したくてうずうずしていたようで、ヴァージニアに手渡すこともせず自分で箱を開けた。その「ジョイ・フォー・オール(Joy for All)」ブランドのコンパニオン・ペットはオレンジ色で胸の部分が白く、細いひげを伸ばしていた。それが、州が実施する孤独防止策の一環であるとは、誰も教えてくれなかった。21年春のある木曜日、ヴァージニアと義理の娘のローズがダイニングルームにいた。ローズはメディケイド(低所得者向け公的医療保険制度)の助成金を得る代わりに、毎週9時間ヴァージニアの介護をすることになっていた。その食卓には(ネコの)ジェニーも座っていた。
際立った特徴のない町から町へ車で移動して、老人たちの様子を見るために古びた家屋を訪問していた日々が終わった。彼女が担当する人々のなかには、食べ物を手に入れることができないと訴える人や不安で身動きがとれなくなっている人もいた。当局が食品のパッケージ──七面鳥のクリームソース煮やチキンのコルドンブルーなど──を高齢者に配達することに決めたとき、彼女はボランティアの配達員として名乗りを上げた。食べ物を配達しながら、人々の様子を確認することができるからだ。 断絶と孤独は共通点が多いが、同じではない。社会からの断絶は客観的な状況(社会との接触がとても少ない)であり、孤独は主観的な感情(人とのつながりが希薄であると感じる心)だ。どちらも炎症反応を促し、その影響で認知症やうつ病、高血圧や脳卒中など、さまざまな疾患のリスクが高まると考えられている。そして、それは高くつく失策だ。AARP(米国退職者協会)とスタンフォード大学の調査によると、社会的孤立によりメディケア(高齢者医療保険制度)の総費用が年間で70億ドルほど余分に増えていて、その主な原因は孤立した人々は病気になりやすく、入院期間も長引くことにある。
ヘンディもロボットが気に入った。老人たちに与えることができる具体的な何かだったからだ。以前なら、老人たちが孤独を感じたとき、ヘンディは彼ら/彼女らのために何らかの社会プログラムに参加するための助成金を申請することができた。しかし、多くの場合で老人たちには地域の集会所に行くことすらできなかった。ヘンディは老人たちにできるだけ介護士を斡旋しようとしたが、他の地域と同じようにカタラウガス郡でも介護士不足が深刻だった。それに、介護士を雇う経済的余裕のある人も多くなかった。
日本 最新ニュース, 日本 見出し
Similar News:他のニュース ソースから収集した、これに似たニュース記事を読むこともできます。