決勝戦(4月3日・東京ドーム)の予行演習のようだった。切磋琢磨(せっさたくま)し女子硬式野球界を盛り上げてきた駒大苫小牧と札幌新陽。過去何度も対戦しているが札幌ドームでは初めて。試合前のシートノックから大きな声が響き渡った。
駒大苫小牧は、04、05年に男子野球部の副部長、部長として夏の甲子園を連覇した茶木圭介監督(44)が指揮を執る。「うちは打てないから。足を絡めた攻めで1点を取り、それを守り切るのがうちの野球」。その言葉通り、3回の先制点は2死一、三塁から一塁走者がスタート。新陽の捕手が二塁に投げた瞬間、三塁走者がスタートするディレードスチール。これが見事に決まった。その後も相手のミスを逃さず加点。最終回に2点を奪われたが7―2で完勝した。 走攻守手応え 先発したエースの柴田涼(2年)は、テイクバックを大きく取り、豪快に直球を投げ込み、新陽打線を抑えた。4回無失点、3奪三振にも「冬場に投げ込んできた成果は出ましたが、四球を一つ与えてしまったのが反省です」と自らを律した。柴田と主将の藤井華子(2年)は東京から創部に合わせてやってきた。
初出場の昨年は1回戦で叡明(埼玉)を破ったが、2回戦で神戸弘陵(兵庫)に0―7(5回コールド)で敗れた。茶木監督は「昨年は走攻守どれも雲泥の差だったが、今年は守備でのサインプレーもできるようになったし、全国でもやってやれないことはないと思います。目指すは日本一」と高らかに言い放った。(永井 順一郎) 〇…4度目の出場となる札幌新陽。部員は16人だがチームワークの良さで頂点を目指す。顧問の高石大道教諭は「18、19年はベスト8でしたから、今年は日本一を目指しています」と強気だ。先発し3回を1失点に抑えた主将でエースの津田夏実(2年)は最終回に三塁打を放つなど投打で気を吐いた。「今日はカーブが良かったです。三塁打はランニングホームランを狙って走ったんですが足が追いつかなかった」。昨年の大会でも開志学園と対戦し敗れているだけに、リベンジに燃えていた。