2025年大阪・関西万博の開幕まで約1年に迫る中、大規模改装に乗り出すホテルが相次いでいる。インバウンド(訪日客)需要で1泊20万円超の客室に予約が殺到するなど客室料金は上昇傾向にあるが、高級ホテルを中心に改装による高付加価値化でさらに高単価の富裕層に狙いを定める。外資系による新規出店を控え、既存ホテルの危機感が一層高まっていることも背景にある。
「ワンランク上のホテルを目指す」。今月1日にホテル名を改称し、客室や付帯施設の改装計画を発表した「リーベルホテル大阪」(大阪市此花区)の担当者はこう強調する。テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ、同)との公式ホテル契約を終え、万博で期待される訪日富裕層の取り込みを図る。インバウンド需要で大阪市内の高級ホテルは外資系を中心に客室料金が軒並み上昇している。コンラッド大阪(同市北区)は1泊10万円前後で推移。インターコンチネンタルホテル大阪(同)も新型コロナウイルス禍前の2倍ほどに跳ね上がっており、「1泊20万円以上でも予約はよく入る」(担当者)という。 新ホテルの進出も加速する。JR大阪駅北側の再開発地区(同市北区)には米ヒルトンの最高級「ウォルドーフ・アストリア」などの出店を控え、大阪城近くにもシンガポール系の「パティーナ大阪」(同市中央区)が計画される。いずれも中心の客室単価は1泊10万円超が見込まれる。
こうした状況が既存ホテルの改装ラッシュを促している。ホテルニューオータニ大阪(同)は7月に隣接客室を内扉でつなぐコネクティングルームを2室設ける。「長期滞在を取り込み客単価を上げたい」(広報担当者)と意気込む。約90平方メートルの広さで、日本の文化体験を意識したヒノキ風呂などを用意。スイートルームと同等のサービスを提供し、家族連れの海外富裕層を狙う。ホテル阪急インターナショナル(同)は高価格帯客室専用ラウンジを6月に新設。リーガロイヤルホテル(同)も135億円を投じ、万博開幕前の令和7年3月までの改装完了を予定する。
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