この研究は、アメリカのアイダホ州にあるボイシ州立大学の研究チームによって主導されていたもの。世界で禁止されている核実験を音と振動で感知する特殊なマイクによる観測データをもとに、研究チームは火山の噴火後の活動を分析しました。2015年8月のコトパクシ火山の噴火から2週間後、研究チームは測定マイクが通常にはない特異な波形の超低周波音を観測したことを発見しました。複数のマイクが記録した波形は、以下のグラフのように約1分にわたってゆっくりとした震動が続きながら、徐々に減衰するというものでした。その波形から、スペイン語で「ネジ」を意味する「tornillo」という名称で呼ばれています。
この震動は0.2Hzという極めてゆっくりとしたものであり、別の言い方をすれば「5秒かけて1回ゆれる震動」ということになります。人間の耳が聞き取れる低音は20Hzが下限であるといわれており、今回観測された音はそれよりも100倍も低いために、人の感覚で感知できるものではありません。そこで科学者チームは、以下のようなサウンドを合成してその波形を実感できるようにしています。ここでは、tornilloの波形の上下をホワイトノイズの音量の増減に置き換えることで波のサイクルを表現し、さらに波の増減スピードが2倍に高められています。 研究により、コトパクシ火山は2015年9月から2016年4月の間にこのパターンを37回繰り返していたことが判明しました。また、コトパクシ火山が持つ波形パターンは、他の火山に比べても非常にゆっくりしたものであることもわかっているとのこと。科学者はその理由について、コトパクシ火山が持つ深い円筒形のクレーターの中で、空気がゆっくりと揺れ動いているためだと推測しています。
この現象や波形の特徴をさらに研究することで、今後は火山の噴火予知などに役立てられることが考えられています。火山特有の波形パターンをつかんでおくことで、新たなパターンが生じたときに何らかの変化が山体の中で起こっていることを察知できるようになる可能性があるとのことです。
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