『Perfect World』は、世界を死に導く対価として稼いだマネーでさまざまな要素を解禁していく、一人称視点の3Dアクションゲームだ。itch.ioで今年1月に、任意の金額を支払いダウンロード可能なName your own price形式で公開された作品だが、このたびSteam版のリリース予定が明かされたかたちとなる。
本作は、いわゆるオールドスクールFPSのひとつとして知られる『Quake』をモチーフとしている。銃を使った戦闘は存在しないものの、各ステージ内の採掘機の数々を起動することで「WORLD HEALTH(世界の体力)」と名づけられた画面上部のゲージが減少していく。採掘機が具体的にどのような資源を抽出しているのかは不明だが、プレイヤーは装置を起動するたび一定の額のマネーを報酬として得られる仕組み。そのマネーを元手に新たなステージのほか、グラップリングフックやジェットパックといった移動アビリティを購入して、ゴージャスな邸宅を建てることが目標のひとつに設定されている。 itch.io版においては、ステージは巨大なキノコに覆われた「SHROOM ZONE」と高低差が激しい断崖絶壁の「KARST ZONE」の2種類があり、それぞれにジャンプ台となるキノコやプレイヤーを上昇させる風といったギミックが存在している。足場のない場所に落下したり緑の液体に触れたりしてしまうとプレイヤーのライフゲージが少しずつ減っていき、体力が完全に無くなると死亡シーンへと遷移。菌糸状の巨大生物らしき何かに取り込まれるような場面を挟んで「ECO HOUSE」と呼ばれる拠点にリスポーンする。同拠点では各要素の購入が可能だが、ゲームの進行に伴い周囲の環境が悪化し燃え盛る炎に包まれていく。ゲームプレイに用意されたマネー獲得や要素解禁などの報酬を通じて展開されるこうした演出により、資本主義に基づく経済システムの負の側面が倒錯的な体験として表現されているわけだ。
また、プレイヤーが十分だと感じたらいつでも進行データをリセットし、ゲームを終了することが可能だと作中では促される。環境破壊に加担したくないという者は、マネーを稼がずにジョウロを使って拠点でキノコを生やし続けたり、あるいは即座にプレイを終えたりといった楽しみかたに浸るのもよいだろう。「environmentalist parable(環境保護主義者の寓話)」とストアページで銘打たれているように、世界を死滅に向かわせる選択をしてリッチな人生を目指すか、はたまたマネーに溺れず環境を守る立場を貫くかは触れる者に委ねられている。 本作を開発したMichael Overton Brown氏は、南カリフォルニア大学大学院映画芸術学部の修士課程に在籍し、インタラクティブメディアを研究しながら3Dアニメーションやウェブサイトなどのジャンル横断的な表現活動に取り組んでいる。
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