「１票の格差」が最大３・０３倍だった２０２２年７月の参院選は投票価値の平等を保障した憲法に反するとして、二つの弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟の上告審判決が１８日、最高裁大法廷（裁判長・戸倉三郎長官）で言い渡される。格差は前回選挙から微増しており、是正に対する国会の姿勢への評価が焦点だ。
参院選を巡って最高裁は前々回の１６年選挙（最大格差３・０８倍）と前回の１９年選挙（同３・００倍）を２回連続で「合憲」とした。今回の判決で「違憲状態」に判断を変えれば、格差をより縮小すべきだとのメッセージとなり、国会は制度改革を迫られる。一方、３回連続で合憲となれば、３倍に近い格差なら不平等とは言えないとする判断が定着するとの見方もある。 参院選は歴史的に都道府県を選挙区単位とし、任期６年のうち定数の半数を３年ごとに改選する。１６年選挙で合区が導入されるまでは、人口の少ない県にも定数２が必ず配分され、衆院より格差が大きくなりやすかった。１９７０〜８０年代は５倍を超える状況が続いた。その後は格差が５倍前後で推移して合憲判断が続いたが、１０年選挙（同５・００倍）と１３年選挙（同４・７７倍）で違憲状態に判断を変更。都道府県を単位とした選挙制度の見直しに言及し、抜本的改革を求めた。ただ、２２年選挙は１９年と同じ定数と区割りで実施され、格差が０・０３ポイント拡大している。１６件の高裁・高裁支部判決は、国会の格差是正の姿勢をどう評価するかで判断が分かれた。違憲判決（１件）や違憲状態判決（８件）は「是正の姿勢が後退した」などと厳しい見方を示した。一方、合憲判決（７件）は「選挙改革の議論は続けられており、是正の姿勢が失われたとまでは言えない」などとした。【遠藤浩二】
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