映像によると左半身の胸ビレより後ろの大部分を食いちぎられ、内臓を収めていたとみられる胴体内部の空洞が丸見えになっている。断面からは痛々しく破れた肌の向こうに白身の筋肉がのぞき、体内から絶え間なく流れる血が海水を赤く染める。口から海面へと延びる糸は、放流時に取り外しが間に合わなかった調査用の釣り糸だろうか。
サメは深みへと逃げようとするが、なおも複数のサメがあとを追い回し、追撃の機会を狙っている。襲った側のサメは大小さまざまで、大きいものでは体重400キロと推定される妊娠中の個体もあったという。なかには、気性が荒いことで知られるオオメジロザメの姿も確認されている。調査チームによると、襲われたサメは半身を喪失しつつも一団から逃れようと奮闘し、およそ20分のあいだ海中を逃げ回ったあと力尽きたという。今回映像を撮影したのは、独クリスティアン・アルブレヒト大学キール校のスペイン人海洋学者である、マリオ・レブラト博士のチームだ。サメが共食いをすることはある程度知られているものの、これまで映像に収められることは珍しかった。
現場は南アフリカに隣接するモザンビークの、沖合100メートルほどの地点だ。博士たちチームがサメを海に放したところ、水面下1〜2メートルほどの浅い地点で襲撃は起こった。襲われたサメはカマストガリザメと呼ばれる全長2メートルに達する種で、世界の熱帯から亜熱帯に広く分布する。一件はアメリカでも報じられている。米
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