兵庫県の西播磨県民局長だった男性(60)が斎藤元彦知事らの言動を「違法行為」などと指摘する文書を作成し、停職処分を受けた問題で、斎藤氏は8日の定例会見で、名誉毀損(きそん)罪での告訴などについて「考えていない」と述べた。これまで「法的手続きを進めている」としていたが、撤回した。文書で指摘された自身のパワハラ疑惑などについては説明を避けた。
男性は3月、知事や幹部職員に関する疑惑を記載した文書を報道機関や県議などに配布。同月27日の会見で、斎藤氏は「(文書の内容には)職員らの信用失墜、名誉毀損など法的課題がある。被害届や告訴も含めて法的手続きを進めている」と明言していた。この日の会見で斎藤氏は、人事当局による内部調査によって「(文書の内容が)真実でないということが一定示された。懲戒処分もされており、現時点では刑事告訴については考えていない」とした。斎藤氏は会見で文書の内容を「事実無根」とした自身の発言を追認する形の内部調査結果を受け、早期に幕引きを図りたい考えがにじんだが、質問に対して言葉を濁す場面が目立った。自身の疑惑についても説明を避け続けており、今後、第三者による調査などを求める声がさらに高まることも予想される。文書では斎藤氏自身に関する疑惑も指摘されているため、県議会などから第三者による調査を求める声が上がっているが、斎藤氏は否定的な見解を示し続けてきた。この日の会見でも、自身の部下にあたる人事担当者らによる調査について、「一定客観的な調査が実施された」と評価し、第三者委員会などの設置は改めて否定した。
一方、自身に関する疑惑に関しては「今の段階でコメントを控えたい」とした上で、今後も「私自身が説明した方がいいのか。人事当局者などが説明することの方が適切であれば、それをもって説明したということになるのではないかと思っている」との考えを語った。(喜田あゆみ)
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