【畑野理之 談々畑】サトテルが決めたら、ちょっとしたストーリーだなあと思っていたら、そうなった。0―0の6回2死一、二塁、佐藤輝明が右翼席へ決勝3ラン。7回の投球の準備をしていた才木浩人も万歳のように両手を挙げて大喜びしていた。
ちょうど1週間前の14日の敵地バンテリンドームでの中日戦を思い出した。打線を大改造したあの一戦といえば記憶している虎ファンも多いだろう。先発の才木が2回に先制点を許し、3回に追いつき、7回に勝ち越して2―1で辛勝した。 その試合で4番に入ったのが佐藤輝だった。しかし4打数無安打。三塁守備でも7回2死二塁で木下拓哉のゴロを一塁へ悪送球してピンチを広げている。それでも才木は後続を断って7回1失点で今季初勝利を挙げた。チームもそこから快進撃が始まり、引き分けを挟む6連勝で、ついに首位まで浮上した。過去3度の才木は孤軍奮闘だった。3月31日は6回無失点で、その間の味方の得点は0(勝ち負けつかず)。4月7日のヤクルト戦も6回2失点ながら、1得点で敗戦投手。そして先述した14日は7回1失点だが、得点は2。マウンドにいた計19イニングで1点ずつを3度の計3点しか援護がなかった。
この日は一気に3点もプレゼントしてくれたが、才木自身のテンポいい投球が関係しているとも思う。雨でぬかるむグラウンドコンディションでスイスイとアウトを重ね、7回まで97球。被安打3、与四球1、奪三振8。フライアウト6、ゴロアウトも6。「足場が悪かったのでフライを打たせようと思っていたのですが、ゴロが多くなって申し訳ないです」。野手のことを真っ先に考えているなんて、なんて気づかいの人なんだろう。安藤優也投手コーチも「守りの時間が少なかった。野手への好影響は絶対にあるでしょうね」と投打の信頼関係が勝因の一つだと証言した。
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