「プロレスの力」をアピールすべくＡＬＬ ＴＯＧＥＴＨＥＲ大会のゴングが５月６日、日本武道館で鳴った。若き戦士を中心にリング上は燃え盛ったが、会場には空席が残っていた。出場選手から「これでいいのか。無理にやることはないのでは」と疑問の声があがったほどだ。
昨年１２月に発足した９団体が名を連ねた日本プロレスリング連盟の設立記念大会であり、今年元日に起こった能登半島地震の被害者へのチャリティーと銘打たれた。興行日程が重なった団体の参加は、一部選手を除いて見送られている。 老舗団体のひとつ、ジャイアント馬場が立ち上げた全日本プロレスは、この日看板シリーズ「チャンピオン・カーニバル」を後楽園ホールで開催。福田剛紀社長は「公式戦のないレスラーやジュニア選手などの派遣を考えていたが『カードが決定したので結構です』ということでした」と残念そうだった。 観客動員が心配されていた全日本・後楽園大会。果たして普段よりも観客席が埋まるといううれしい誤算となった。お隣の東京ドームではボクシングの井上尚弥ｖｓネリなど格闘技ファンは贅沢な悩みを抱える日であった。加えて配信による観戦も普及し、厳しい状況にあったことも事実。しかも交流戦も盛んになり、夢の対決やドリームタッグの結成も珍しくない。正直、オールスター戦が色あせてきている。
２０１１年の第１回ＡＬＬ ＴＯＧＥＴＨＥＲを知らないファンも増えているという。テーマ曲が作られ、選手もコーラスに加わるなど大会前から大いに盛り上がった。何かと火花が散っていた馬場・猪木時代とは違って、団体間の話し合いもスムーズに進行したが、カード編成などで緊迫感が流れることもあった。アントニオ猪木のＩＧＦが興行戦争を仕掛けてくるなど番外戦も勃発。記者も主催者である新聞社の交渉役として右往左往し、時には真っ青になったことが懐かしい。時代とともにファンの見方も楽しみ方も変わる。この１３年の間に「ＡＬＬ ＴＯＧＥＴＨＥＲ」の意味合いも中身も変遷してきた。とはいえ「プロレスの力」は不変。ファンは選手の頑張りから選手はファンの声援に、勇気づけられ元気をもらう。観戦時にはファイトに集中し「今日も一緒にプロレスを楽しみましょう！」。 ＝文中敬称略
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