首位を走る広島が27日のヤクルト戦(マツダ)で今季初のサヨナラ勝ちを飾った。殊勲は「7番・一塁」で先発出場した坂倉将吾捕手(26)だ。1点を追う9回2死一、二塁で、左翼へ劇的な逆転2点二塁打を放ってケリをつけた。4番手で9回1イニングを無失点に抑えた矢崎拓也投手(29)が今季初勝利。同一カード3連勝は今季3度目、貯金は今季最多更新の9となった。
詰まった当たりのライナーは、9回に中堅から左翼へと守備位置を変え、ダイビング捕球を試みた山崎のグラブをかすめて抜けた。打球がフェンスへ向かって転々とする間に上本と代走・大盛が相次ぎ生還。劇的殊勲打を放った坂倉は手荒い祝福に破顔一笑だった。1点を追う9回、先頭・上本の右前打を起点に築いた2死一、二塁の好機。左腕・田口がカウント2―1から投じた外角高め直球を「まずは同点。思い切って」振り抜いた。今季初のサヨナラ勝利を呼ぶ、起死回生の逆転2点二塁打だった。 打率・266に終わった昨季の反省から、より力強く安定した打球を求め、打撃改造に着手した今季。だが、高みを目指す取り組みは道なかばで、悩んだことがなかったはずのタイミングが取れなくなっていた。試行錯誤の日々。復調への兆しが見えたのは26日だ。
80打席ぶりに放った4号ソロ。この日のV打を予測していたかのように「打撃の状態は間違いなく上がっている」と断言し7番・ファーストで先発起用した新井監督は「本当によく打った。石原が粘っているときに坂倉の表情を見たら凄く気合が入っていたので、やってくれると期待していた」と目を細めた。「昨日から打席の内容は悪くない。スイングもそうだし、タイミングの取り方を含めて全体的にかみ合ってきた感じ。気持ち的に、いい方向へいくのは間違いないので、ここから上げていけたら」《坂倉3年ぶり2度目のサヨナラ打》今季の12球団でサヨナラ勝ちのなかった広島とDeNAが、ともにサヨナラ勝ちを収めた。坂倉(広)のサヨナラ安打は、21年9月7日中日戦の逆転サヨナラ3ラン以来、3年ぶり2度目。このほか23年8月25日のヤクルト戦でサヨナラ犠飛がある。
《13球粘った石原がお膳立て》石原が9回2死二塁で迎えた4打席目で、13球粘って四球をもぎ取り、坂倉のサヨナラ打をお膳立てした。抑えの田口に3球で追い込まれながらも、5球連続ファウルなど必死にコンタクトを試み、最後は外角低めチェンジアップを見極めた。「後ろがサク(坂倉)とキク(菊池)さんなので、つなげば何とかなると思っていた」。土壇場で価値ある仕事を果たし、充実感に浸った。
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