サケ、あるいはシャケと呼ばれる魚類は、サケ目サケ科サケ亜科を単独で構成し、全世界に70種前後が知られています。分布の中心地は太平洋および大西洋の寒帯から亜寒帯で、その大半が遡河回遊魚、海に降下せずに一生を淡水で過ごす種や個体も知られています。繁殖のときには生まれた川に必ず戻ってくる強い母川回帰の習性で知られ、ウナギが深海域で孵化し、成長しながら海を北上して日本の川を遡って淡水域で成長し、成熟すると繁殖のために生まれ故郷の深海へと旅立つのと鏡合わせのように、サケは川で生まれ、海で成長し、生まれ故郷の川に戻ってきます。
亜熱帯や熱帯などの低緯度の暖かい地域では、陸地に多くの食料があり栄養豊富で、逆に海は低栄養であるのに対し、亜寒帯や寒帯の寒い地域では、海には栄養となるプランクトン類が豊富なのに、陸地は食料に乏しいというギャップがあり、このため両種は対照的な生態をもつわけです。幼魚は日本の海域から離れて、北方のオホーツク海に移動し、以降は水温が極端に下がる冬期にはアラスカ湾などで越冬し、暖かくなると、えさ場となる北方のベーリング海で採餌をして成長する、というサイクルを平均で4年ほど過ごします。 そして体長が60cmを超えて十分に成長すると、自分が生まれた川へと帰郷の旅に出ます。この段階になるとオスは雄性ホルモンのケトテストステロンの作用によって、背中が隆起し、口先が伸びて下側に曲がる独特の形となり、私たちが「シャケ」としてイメージされるあの姿に変貌します。
ため込んだ栄養分を消費しながら海を越え、そして時に堰や滝もある川を水流に逆らって必死に遡上して、上流部で繁殖をします。すべてのエネルギーを使い果たした親魚たちは、数日以内にほとんどが死んでいき、寒冷地の厳しい環境の内陸の生物たちの貴重な食料源となる役割も持ちます。サケの語源について、現在有力とみなされているアイヌ語説の他、「身が筋に沿って裂けやすいから」「酒に酔ったように赤みのある身の色から」という説があり、あまり支持はされていません。実際これだけですと、単なる語呂合わせ程度の思い付きのように思われます。「身が裂けやすい」というのなら、どんな魚も筋に沿って裂けやすく、殊にタラなどはもっとも崩れやすいものです。世界を成り行きに任せていれば、大塊は崩れて粉々に、高きにあったものは低きに沈み落ち、熱いものは冷え、光は失われ、事物・世界は「虚無」へと消滅していきます。
生命活動とは、その「ことわり」に対し「逆らい」、低きを高きへ引き上げ、崩壊するものを凝縮結集し、熱と光を注ぎ込む、萌え「盛る」パワーそのものだと言えます。小正月に行われる火祭り「どんど焼き」は、不死鳥である神「ミサキ」が火にくべられて空高く舞い上がって復活する儀式が原型であると以前当コラムで解釈したことがあります。「ミサキ」と「酒」「鮭」。酒を飲めば、人は気持ちが高揚し体が熱くなり、一種のトランス状態となるため、古代には祭儀に用いられました。それは「栄える」「盛ん」「盛る」といった言葉で表わされる表象です。先述した香取神宮の大饗祭の鳥羽盛りは、燃える炎を形作っているようにも見えます。定番おかずのサケ、と言って思い浮かぶのは?
日本 最新ニュース, 日本 見出し
Similar News:他のニュース ソースから収集した、これに似たニュース記事を読むこともできます。
ソース: tenkijp - 🏆 133. / 51 続きを読む »
ソース: tenkijp - 🏆 133. / 51 続きを読む »
ソース: tenkijp - 🏆 133. / 51 続きを読む »
ソース: tenkijp - 🏆 133. / 51 続きを読む »
ソース: tenkijp - 🏆 133. / 51 続きを読む »