。所属事務所によると、葬儀は既に執り行われた。また、10年には東京・池袋の新文芸坐で行われた特集上映に合わせて出版された「『にんじんくらぶ』三大女優の軌跡」(エコール・セザム刊)に寄稿。「『この演技を見て』とかいう自意識がなかったのが、逆によかったのかなと。後で作品も含めて高い評価を得るようになるとは、夢にも思っていませんでした」などと女優人生を総括していた。
久我さんは、元侯爵で貴族院議員の父を持つ華族出身。女子学習院中等科在学中の1946年に東宝ニューフェイスに応募し合格。家柄もあり、周囲からは女優の道を反対されたが、翌年、映画「四つの恋の物語」の学生役でデビューした。その後、「酔いどれ天使」の黒澤明監督をはじめ小津安二郎監督、木下惠介監督ら名匠の作品に多数出演した。 一躍、注目を集めたのが50年公開の主演映画「また逢う日まで」。岡田英次さん演じる召集前の学生に恋をする画家の卵を好演。岡田さんとの窓ガラス越しのキスシーンは、映画史に残る名ラブシーンと評され、04年公開の映画「世界の中心で、愛をさけぶ」で長澤まさみと森山未來が無菌室のカーテン越しにキスをする場面に影響を与えた。
54年には、専属する映画会社以外の作品に出演できない、通称「五社協定」に反発した女優・岸惠子(91)、有馬稲子(92)と「文芸プロダクションにんじんくらぶ」を設立。映画製作も行った。テレビでも「華麗なる一族」(74年)など多くのドラマで活躍し、ワイドショー「3時のあなた」の司会も務めた。
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