バンテリンドームの大歓声を浴びて、中日・大野は最高の笑顔を見せた。5回4安打1失点。22年9月25日の巨人戦以来となる“復活1勝”を挙げ、お立ち台で「ただいま!」と喜びを爆発させた。ユニークな言い回しも、完全復活を印象付けた。約1年ぶりとなる本拠地のマウンドで左腕を振った。140キロ台後半の直球は球威があり、宝刀ツーシームは効果的だった。3回まで完全投球。4回1死一、三塁で岡本和の遊ゴロ併殺崩れの間に三塁走者の生還を許したが、後続を断ち最少失点で切り抜けた。
昨年4月4日のヤクルト戦(バンテリンドーム)で7回1失点(自責0)と好投した後に左肘痛を発症。同17日に左肘の遊離軟骨除去手術を受けて長期離脱した。昨季は、この1試合登板だけだった。「離脱してはいけない投手だと自分でも思っていた。悔しかったという思いより、トレーナーさん、家族、支えてもらった人への感謝を伝えたい」。投手陣の柱としての責任感、周囲の感謝を胸にリハビリに励んできた。 チームを連勝に導き今季初のカード勝ち越し。勝率5割に復帰して3位タイ浮上に貢献した。立浪監督からは「きょうは5回でしたが、イニングも伸ばしていきながら、まだまだチームの柱としてやってもらいたい」と期待された。「自分の勝利は、そっと喜んでおいて。チームが勝ててよかった。どんどんチームが乗っていけたら」と大野。帰ってきたエースが、逆襲のキーマンだ。(湯澤 涼)
○…大野(中)の勝利は22年9月25日の巨人戦(バンテリンドーム)以来556日ぶり。シーズン初登板での勝利は、初の開幕投手を務めた16年3月25日の阪神戦以来8年ぶり。プロ14年間で初登板を3勝7敗(勝敗なし4度)と苦戦している。 ○…大野(中)が巨人戦通算19勝目(25敗)。自身カード別では阪神戦の18勝を超え最多になった。中日投手の対巨人戦最多勝利は山本昌の43勝で大野の19勝は権藤博ら3人の18勝を超え鈴木孝政と並ぶ8位タイに浮上。また、巨人戦の通算防御率は2・98だが、19年以降に限ると1・47と格段に良化している。
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