アヌシー国際アニメーション映画祭(今月9~15日開催)の注目度が年々、高まっている。動員数は今回、延べ12万5千人と過去最高を記録し、併設の世界最大規模のアニメ国際見本市「MIFA」(ミファ)の展示スペースも近年、急拡大。世界中のアニメ関係者が訪れ、今や他の追随を許さない一大映画祭となっている。同映画祭に2009年から参加しているアニメジャーナリストの数土直志さんに話を聞いた。「この10年間で本当に変わった。短編だけでなく長編、テレビ、さらにはハリウッド映画、『アニメ』と呼ばれる日本スタイルのもの、とすべてをそろえる総合アニメーション映画祭になった」「アニメを売る単なるマーケットではなく、トークイベントやシンポジウムなどアピールする場がたくさんあり、そこに人も集まってくる。MIFAは情報と商売のハブ(港)になっている」
一方、コンペティション長編部門に12本がノミネートされたが、その中にポール・グリモー賞(特別賞)を受賞した「窓ぎわのトットちゃん」(八鍬新之介監督)や「きみの色」(山田尚子監督)など合作を含め日本作品が4本も入った。 「世界的に今は長編アニメが潮流で、たくさん作られるようになったことが背景にある。今回、長編部門には100本以上のエントリーがあり、いずれも自信作のはず。その中で4本も日本作品が選ばれるというのは、本当にすごい」コンペ短編部門の「カワウソ」(泉原昭人監督)をはじめ、VR(仮想現実)部門、テレビ部門にも日本作品がノミネートされた。さらに今年新設されたコンペ以外で公式上映するアヌシー・プレゼンツ部門にも、「ルックバック」(押山清高監督)など日本作品が複数選ばれている。
「日本の『アニメ』スタイルが普通に受け入れられるようになった。『ルックバック』は反響が大きく、追加上映されたほど。アヌシーで追加上映は、ほとんど聞いたことがない。それだけ日本作品への関心も高いので、アヌシーに挑戦、参加する価値はある」
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