進学や就職などで、地方から東京に出てきた人が驚くことのひとつが、「電車」だという。次から次へと、ひっきりなしにとてつもなく長い電車がやってきて、そのどれもが満員電車。いったいどこから人が湧いてくるのかと、確かに思う。
地方で暮らしている人の話を聞くと、鉄道を使うのはせいぜい学校に通うときくらい。高校が自転車通学の範囲にあると、乗る機会すらほとんどない。だから、きっぷひとつ買うのにもドキドキするようなこともあるのだとか。 そうしたところから東京にやってきて、いきなりあの満員電車にさらされると、それはもうパニックになって当然かもしれない。そして数カ月もすればすっかり慣れてしまうのだから、人の順応力というのはなかなか恐ろしい。それはともかく、かくのごとく東京の鉄道は10両編成を軽く超えるほど長い電車が次々にやってきて、どれもが満員という圧巻の輸送量を誇っている。そして、初見殺しなのはそれだけではない。実に複雑怪奇なネットワークこそが、東京の鉄道に親しむうえでは何よりのハードルなのだ。といっても、すべてをひとくくりで語るのは到底不可能だ。なので、ここでは東京都内を走るJR線に限定して、旅することにしてみよう。
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