論文の詳細は後述するが、ごく簡単に要約すると次のようになる。ワクチンからの遺伝情報が細胞内で複製された後で、不要部分を取り除くクリーンナップ作業が行われる。この際、ごく稀にエラーが発生し、誤った位置で遺伝情報が切断され、不正なたんぱく質の生成を招いているというものだ。
ワクチンによる血栓症の発生率は稀であり、イギリスでは3300万回行われた接種のうち、血栓が確認されたのは309件、死亡に至った件数は56件となっている。しかし、重篤な副作用を懸念し、デンマーク、ノルウェー、オーストリアなどが使用停止に踏み切ったほか、他にも複数の国が高齢者への接種を中止している。教授はワクチンの改善ポイントを製造各社に伝える用意があるとしており、実現すればより安全な接種に結びつきそうだ。アストラゼネカ製とジョンソン・エンド・ジョンソン製は、どちらもウイルスベクターワクチンに分類される。エラーのメカニズムをもう少し詳しく見るため、前提としてそのしくみをおさらいしたい。 ベクターワクチンの「ベクター」とは、運び屋という意味だ。ワクチンの成分であるDNAを細胞核に送り込むため、風邪ウイルスを無害化して運び屋として利用する。このDNAは、新型コロナウイルスの構造に似たたんぱく質を生成するための設計図になっている。細胞核にたどり着いたDNAは鋳型の役割を果たし、一旦たんぱく質のレシピであるmRNAに転写される。
続いてmRNAは、細胞核を取り巻くリボソームへと届けられる。リボソームは受け取ったレシピに従い、新型コロナウイルスの外側の構造である「スパイクたんぱく質」を合成する。結果、ウイルスと同様のスパイク構造が細胞の表面に現れるしくみだ。体内の免疫システムがこれを発見し、本物のウイルスの侵入に備えた抗体が生成される。話を血栓に戻そう。研究チームは、DNAの鋳型からmRNAを生成した後のプロセスに問題があると踏んでいる。このとき単に転写するだけでは、完全なmRNAとはならない。転写後、たんぱく質の生成に不要な部分を除去する「スプライシング」と呼ばれるクリーンナップ作業が必要だ。
どんなスプライシングが起こってどんなタンパク質ができるのかな。血栓を起こすタンパク質が同定されるといいね。
DNAもmRNAもワクチンになるのは初めてだからね。わからないことが起こるのは仕方ないかも。
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