ロシアと向き合う勇気◇「戦争」と「独裁」への文学者のまなざし―亀山郁夫さんに聞く(前編)

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ロシアによるウクライナ侵攻は3年目に突入し、出口の見えない戦争による無辜(むこ)の民衆の犠牲は増えるばかりだ。果たして戦争を止めることはできるのか。争いが争いを生む、憎しみの連鎖は断ち切れるのか。容易に答えが見つかりそうもない問いを抱えたまま、ロシア文学者であり、翻訳者であり、恩師でもある亀山郁夫さん(75)を訪ねた。

人生の転機は何かと考えると、やはり1984年、フレーブニコフの伝記を書くためにロシア旅行中、スパイ容疑で拘束されたこと。ソビエト全体主義というシステムの怖さを身をもって経験し、すさまじい恐怖を味わった。それから10年後、94年にロシアに行き、今度は国家崩壊期の挫折していく、しかし魂だけは生きているような状況を目にした。その辺りかな、スターリン時代への関心が高まったのは。

93年にマヤコフスキー生誕100年で評伝を書こうと思ったのだが、ソ連崩壊期の混乱でさまざまな一次資料が明らかになった。1930年のマヤコフスキーの死を巡り「謀殺」説も出てきて、「自殺」という揺るぎない事実が覆されようとした。※マヤコフスキー=ウラジミール・ウラジミーロヴィチ・マヤコフスキー(1893~1930)。グルジア(ジョージア)に生まれ、10代の頃から革命運動に関わり逮捕と釈放を繰り返す。「未来派」を代表する詩人で、長詩「ズボンをはいた雲」「背骨のフルート」を発表。1917年のロシア革命を「ぼくの革命」と呼んで自己と同一化するかのように、革命を擁護するプラカード作りに没頭したほか、長詩「これについて」を著したが、1930年にピストル自殺を遂げた。ソ連崩壊期に新資料が見つかり、秘密警察による謀殺説も唱えられた。今はいくらでも解説書があり、いろんな解釈が可能だけれど、宗教的視点も欠かせない。ウクライナは宗教的にも分かれていて、西部のユニエイト(合同協会)というギリシャ・カトリックの影響力が全体に広がっていった背景もある。

率直な印象を述べると、ソ連崩壊から4半世紀、改めてロシアを受け入れるには、ウクライナは精神的に自立していたということだ。というか、彼らの目は、もはや全く東を向いてはいない、精神的にもロシアの古いメンタリティーを受け入れる状況にはないと実感した。 ゴルバチョフとのインタビューを経験し、1冊の本としてまとめ上げた15年以降、ドストエフスキーの「白痴」に続いて「賭博者」、そして「未成年」と、五大長編の翻訳に没頭していた。それと21年には体調を崩し、かなりの時間と精力をそちらに奪われてしまったので、しっかり状況を追いかけられていたわけではなかった。

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