分析の対象となったのは、噴火の際に舟小屋へ逃げ込んだものの火砕流にのみ込まれて死亡した152人の遺骨。当初、これらの人々の皮膚や軟組織は300~500度に達したとみられる高温にさらされて蒸発し、即死状態だったと考えられていた。
ところが新技術によって遺骨を改めて調べたところ、予想されたほどの高温にはさらされていなかったことが判明。骨の中にコラーゲンが残っていたことから、人々を襲った高温は400度未満だったとの結論が出た。コラーゲンは温度が500度を超えるとゼリー状のゼラチンに変化する。 研究者らは舟小屋の中で死んだ人々について、一瞬で蒸発したのではなく、有毒な煙で息を詰まらせながら時間をかけて焼け死んだとの見解を示す。論文を執筆した英ティーズサイド大学のティム・トンプソン教授は、舟小屋の壁全体に熱が伝わり、生きながらオーブンで焼かれるような苦しみだっただろうと語った。ガラス状の物質となった脳の残留物/The New England Journal of Medicine
当該の人物はうつぶせで木製のベッドに横たわり、火山灰に埋もれていた。骨はすさまじい高熱にさらされて黒焦げになっていたという。遺体そのものは1960年代に発見されていたが、黒いガラス状の物質は最近になって頭蓋骨の中から見つかった。
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