ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(71)は7日、大統領府がある首都モスクワのクレムリンで就任宣誓し、通算5期目に入った。最長で2期、83歳となる2036年まで大統領を務めることも可能となった。00年の初当選以来、最高権力者として政敵を次々と排除し、盤石に見えるプーチン体制だが、異例の長期政権における最大の「敵」は意外なところに潜んでいるという。安全保障面ではロシア軍の定員を最大132万人に増やし、核兵器を含む近代装備の充実や戦車、弾薬などの生産を強化し、北大西洋条約機構(NATO)に対抗する。内政では、3月の大統領選で、87%を超す「史上最高」の得票率で圧勝したが、侵攻反対を唱える元下院議員が候補者登録を拒まれるなど、不公正さも指摘された。ラブロフ外相(74)やショイグ国防相(69)、ミシュスチン首相(58)らは留任の公算が大きいが、米政治サイト「ポリティコ」は7日、側近の一部が「70代」であることから「プーチン大統領の世代が舞台を去る時が来たが、彼らに代わる人材はまだ準備ができていない」とする英王立国際問題研究所のシニアフェローの見解を伝えた。
独立系メディア「メドゥーザ」は情報筋の話として、プーチン政権の一部の当局者は「71歳のプーチン大統領にとって今回が最後の任期になる可能性がある」と考えており、「可能な限り最高の地位に就くことが特に重要だと考えている」と指摘する。 ロシア政治に詳しい筑波大学の中村逸郎名誉教授は「ロシアには『レーニンはいつも若い』という言葉もあり、指導者の若さは重要な価値になる。裸体を披露するなど若さを誇示してきたプーチン氏にとって最大の敵は『老い』だ。国内には閉塞感が漂っているが、高齢化する閣僚を刷新すると長年の側近を失うだけではなく、自身の老いが際立つリスクもある。ジレンマを抱えているのではないか」との見方を示した。
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