小林製薬が製造・販売した「紅麹」成分のサプリメントで健康被害が相次いでいる問題で、29日に会見を開いた小林章浩社長ら。しかし、情報を積極的に出さない姿勢が目立ち、青カビから生成される天然化合物「プベルル酸」の存在を認めたのも、記者側からの指摘を受けてのことだった。自主回収の判断が遅れたことに関しても、小林氏は「最善を尽くした」と述べ、全面的な責任を否定した。「25日にプベルル酸の(原因としての)可能性に気付いた。取り扱ったことのない物質。紅麹の成分と相互作用で悪影響を及ぼした可能性を否定できない」。会見で、同社の梶田恵介・ヘルスケア事業部食品カテゴリー長はこう述べた。しかし、29日に厚生労働省から発表があったことを記者から追及され、プベルル酸の存在を初めて認めた。
「大阪工場」(大阪市)では平成28年にグンゼから事業を引き継いでから紅麹原料を製造し、協力会社でサプリなどの製品をつくっていた。昨年9月以降の製造分に被害が集中していたとされ、同工場内で何らかの「異変」があった可能性がある。 この点について、会見では山下健司・執行役員(製造本部長)は未知の成分が「昨年4~10月の製造分に散らばっている」と説明。グンゼから事業を引き継いで以降、菌株や製造法自体は変わっていないが「品質管理のプロセスは独自に見直していた」とした。自主回収 紅麹の健康被害では、今年1月15日に最初の症例報告があったにもかかわらず、自主回収が今月22日までずれ込んだことに批判が上がっている。小林氏は社内のガイドラインでは問題がなかったとの認識を示しつつ、「もっと早く公表していれば(死者を)防げたのではないかという指摘には言葉がない」と述べ、広報対応について「大変問題だった」と話した。
経営責任を問われると「原因究明と再発防止が私たちの責任。リーダーとしてしっかり進めたい」と話すにとどめた。今後、被害者対応や原因究明への姿勢で厳しい目が注がれることになる。(牛島要平、井上浩平、清水更沙)
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