が、2030年までの長期戦略を発表した。再成長の原動力と位置付けるのが、タイヤの遠隔監視や再利用などの「ソリューション事業」だ。同事業の売上高をほぼ倍増させる野心的な目標を掲げたが、実現に懐疑的な市場の見方を覆せるか。これはブリヂストンが9月20日から提供している、タイヤ遠隔監視サービス「タイヤマティクス」の新プランの一場面だ。タイヤ内側のホイールに空気圧と温度を測定するセンサーを取り付け、異常を検知するとトラックやバスの運転手らに知らせる仕組みだ。運転手が同社のコールセンターに連絡すると、タイヤ交換のためサービス車が現場に駆けつける。従来のプランでは1日数回だった計測頻度も、新プランでは常時計測する。
同サービスを手掛けるブリヂストンタイヤソリューションジャパン(東京・中央)の仲村克則氏は「パンクなどのトラブルが起きた直後に加入する事業者が多い。空気圧を常に適正に保てると燃費が改善することもメリット」と話す。2020年12月に国内の輸送事業者向けにサービスを開始し、既にトラックなど数千台が加入しているという。乗用車用の低価格タイヤを中心に中国・韓国メーカーの攻勢にさらされているブリヂストンは今、タイヤマティクスのような単純なモノ売りとは一線を画した「ソリューション事業」を成長分野と位置付け、育成を急いでいる。タイヤのうち摩耗した表面部分のゴムだけを取り換える「リトレッド」と呼ぶ再利用サービスも、これに含まれる。
「長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」と題した8月31日の事業説明会では、30年12月期にソリューション事業の売上高を2兆円規模と、22年12月期計画(約1兆1000億円)からほぼ倍増させる目標を公表。電気自動車(EV)向けなどのプレミアムタイヤ(高付加価値タイヤ)事業と並ぶ経営の2本柱に据える。石橋秀一最高経営責任者(CEO)は「新品タイヤとソリューションを組み合わせ、変化に対応できる強いブリヂストンに戻す」と強調した。 同事業のけん引役となるのはリトレッドなどのタイヤセントリックソリューションだ。約2000億円(22年12月期計画)から約6500億円(30年12月期目標)と、3倍に伸ばす計画だ。すでに設備を日本や欧州で拡大している途中だという。ただ市場の反応はいまひとつ。説明会後のアナリストリポートには「アグレッシブな目標」「現段階ではチャレンジングとの印象」との言葉が並んだ。モルガン・スタンレーMUFG証券の垣内真司氏は「ソリューション事業の売り上げ倍増は不可能ではないが、『リトレッド』を日欧の輸送事業者に浸透させられるかなどが課題」と指摘する。石橋氏は20年3月のCEO就任以降、構造改革を進めてきた。21年2月には、世界に約160ある生産拠点を約4割減らすと発表。低採算事業の売却と約8000人の転籍も決めた。「苦渋の決断もあったが再編はほぼ終了した」(石橋氏)
一方、21年初から本格回復した株価は今年に入ってやや伸び悩んでいる。リストラが一巡して事業で反転攻勢に出る局面に移り、現時点で懐疑的な市場の見方をどこまで覆せるか。市場は石橋氏の手腕を再び注視している。
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