【ヤナギタイムズ】日本ハム時代の13年12月からドジャースの大谷翔平投手(29)を本格取材し、TBS系情報番組「ひるおび」、「ゴゴスマ」などに随時出演する本紙MLB担当・柳原直之記者(38)の連載コラム「ヤナギタイムズ」。今回は打者に専念した時の「難しさ」とその打開策に迫った。
今季同様に右肘手術の影響で打者に専念した19年は打率・286、18本塁打。左膝痛の影響もあったが、新人王に輝いた前年から成績を伸ばせず、ドジャース・大谷は「(二刀流ではなく)打者として出続ける難しさはある」と語ったことがある。二刀流こそ大谷の本懐。打者として結果が出なくても投手で挽回でき、逆も同様。投打を同時にこなすことで気持ちの切り替えも、うまくできていた。 開幕直後。懸念していたその「難しさ」を実感することになった。本塁打の打席まで40打席連続ノーアーチは自己ワースト。この日は「“タイミングと距離”が違うかなと思っていた」と振り返った。「打撃ケージでもいろいろ試した。コーチや打撃投手は調整法を含め、いろいろ話しながらサポートしてくれる」としたが、打者としての練習に限られる分、普段より深刻に考え過ぎる傾向になっていたように感じた。
現状の打開策の一つが走塁かもしれない。同点の3回は、先頭で一塁内野安打。1死からスミスの左翼線二塁打で、一気に生還した。ライナー性でスタートは遅れたが「(三塁コーチも)思い切り回していたし、僕も行けると思っていた。良い判断だった」と激走を見せた。投げられなければ、走ればいい。キャンプでも走塁練習に注力。この走塁で体が温まり、切れが生まれ、7回の移籍後初アーチにつながった可能性も否定できない。周囲が想像できない投打同時プレーで、異次元の数字を残してきた二刀流。投手としての練習量がまだ限られる分を、走ることで補うことができれば好結果につながるかもしれない。
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