万一、NATOに愛着のないトランプ氏が再選されれば、ウクライナ戦争の行方は不透明になる。トランプ氏の対露融和政策によりウクライナ問題で米国が妥協を図れば、その是非をめぐってNATO同盟国間の意見の相違が顕在化する。最悪の場合、同盟自体が弱体化していく恐れすらあるだろう。
そうなれば、トランプ式の「ポピュリズム」「ナショナリズム」を標榜する勢力が欧州でも再び影響力を拡大し、場合によっては一部が政権を握る可能性もあろう。かくして欧州各国間の国際的連携は弱体化し、ロシアのプーチン体制は息を吹き返し、西側諸国がロシアとの「第二冷戦」に敗北しかねない状況が生まれる。欧州不安定化もこれまた必至だろう。ではインド太平洋はどうか。トランプ政権の対中強硬姿勢は変わらないだろうが、本質的に「戦争」を好まない「経済人」のトランプ氏は、従来のような同盟強化の議論に代わり、駐留軍経費負担問題や貿易戦争を仕掛けてくる可能性がある。米中の緊張は続くが、日米豪印4カ国による連携の枠組み「QUAD(クアッド)や同盟国の連携は停滞するだろう。しかも、もう日本には「安倍晋三」総理はいないのだ。30年後の歴史家はこうした状況をいかに見るだろうか。筆者ならこう書くだろう。2024年以降、米国のトランプ現象や欧州の極右勢力台頭に代表される自国第一主義、ナショナリズム、排外主義、同盟の軽視といった諸現象がトランプ再選により顕在化した。第2次世界大戦以降、主流だった国際主義やグローバリズムは危機に瀕
2022年以降、欧州では北大西洋条約機構(NATO)がロシアのウクライナ侵略の抑止に失敗し、中東では米国とイスラエルがイランを後ろ盾とするハマスの抑止に失敗した。これらは独立した単独の事件ではない。ロシア軍はイランのドローンと北朝鮮の弾薬をウクライナ戦争で実際に使用し、中国からも種々の支援も取り付けていたからだ…。以上の分析が正しければ、中国、ロシア、イランの3国は今や連動していると考えるべきであり、日本のような現状維持勢力はこれらをいかに抑止すべきかにつき地球的規模で考える必要がある。欧州、中東、インド太平洋のいずれか一つの地域で抑止が破れても、それが直ちに他の地域での抑止にマイナスの影響を及ぼすからだ。
今われわれがインド太平洋地域で中国と北朝鮮を確実に抑止するためには、欧州でロシアを抑止できる強力なNATOが、また中東ではイランを抑止するための同地域の安定が、それぞれ不可欠となる。バイデン政権は曲がりなりにもこうした努力を続けてきたが、トランプ二期目政権に努力を継続する知恵者がいるかどうかは、未知数としか言いようがない。
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