「渡る世間は鬼ばかり」「風雲!たけし城」「輝く!日本レコード大賞」など、懐かしく味わいのあるロゴを生み出した篠原さん。妻・めぐみさん(88)によると、約5年前に難病の進行性核上性まひと診断された。14日に都内の施設で静かに息を引き取った。
1927年、東京生まれ。元々は日本画家志望で、戦後はネオンサインをデザインする仕事をしていた。55年のTBS開局時に入社し、テレビ草創期からタイトルデザイナーとしてセンスを発揮。99年には放送文化の貢献者を表彰する橋田賞を受賞している。 ドラマの題字を書く時は、必ず台本を読んだ。どんな物語で何が描かれるのかを理解した上で表現するためだ。めぐみさんは「“文字がうまいだけではダメ”と言っていて。文学性を大切にしていたのだと思います」。読書家で自宅には書籍が3000冊。インプットも欠かさなかった。 タイポグラフィー(活字を中心とした構成デザイン)の第一人者。新橋演舞場や明治座のポスターや題字、レコードやCDのタイトル、ワインのラベル、、染色や陶器まであらゆるものをデザインした。オリジナルフォントも4種制作した。74~81年には東京都の広報誌の題字と表紙画を担当。ジュエリーデザイナーだっためぐみさんも詩を担当しており、夫婦共作だった。
64年に日本レタリングデザイナー協会(現・日本タイポグラフィ協会)を設立。文字デザインの著作権保護を訴えた。多摩美術大などの講師を務め、後進育成にも尽力。めぐみさんは「文句を言わない人で、仕事が趣味のよう。好きなことができて幸せな人生でした」とほほ笑んだ。
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