産経新聞 は主要企業を対象に4月上旬~下旬にアンケートを実施し、110社から回答を得た。経済安全保障に関する機密情報の取り扱いを、国が身辺調査で認めた人に限る「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」制度創設を柱とする新法案が、今国会で成立する見通しだ。海外流出により国民の安全が脅かされる経済情報を保全するのが狙いだが、アンケートでは創設に賛成の企業は3割に満たなかった。プライバシー侵害などの懸念が根強く、様子見の企業も多いようだ。
制度創設により、経済安保分野で同制度を運用する欧米各国と足並みをそろえ、当局間の情報共有や民間の競争力強化を図る狙いもある。アンケートで制度を「創設すべきだ」と答えた企業は28%。最も多かったのは「どちらともいえない」で32%。「創設すべきではない」は1%だった。 制度のメリットを複数回答で尋ねたところ、「機密情報の漏洩防止」を選択した企業が45%で最多だった。「参画可能な海外案件の増加」「企業の信頼性向上」が次に多く、35%の企業が選んだ。「協業の深化による競争力向上」を選択した企業は20%だった。 一方、デメリットでは「身辺調査などによる従業員のプライバシー侵害」(32%)を懸念する声が最も多く、「従業員の資格取得などコスト増」(30%)、「社内の柔軟な人材配置への影響」(24%)といった意見も目立った。
指定情報を扱う資格は身辺調査を経て付与される。家族を含めたテロ・スパイ活動への関与や犯罪歴、薬物乱用などが調査項目となっており、「資格取得を断った社員や、調査で不適格とされた社員の処遇」を心配する企業もあった。
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