Auracastを使ったブロードキャスト・オーディオは、TVのチャンネルに似た概念だ。チャンネルを選択するように受信するAuracastブロードキャストを選択できる。仮にチャンネルが1つしかない場合は、特に悩む必要はないだろう。しかし、2つ以上ある場合には、どれかを選択しなければならない。
問題はAuracastを受信するイヤホンには通常そのためのUIがない。例えば、イヤホンの2回タップでチャンネルが切り替えられたとしても、そのチャンネルが翻訳か解説かまでは分からないだろう。そこで、Auracastアシスタントを用いて、スマホからイヤホンをリモート制御できるようにする。Auracastアシスタントは、ユーザーに対してチャンネルがどのような内容であるかを示し、選択もできるようにするソフトウェアだ。将来的には、このAuracastアシスタントのUI機能が、Auracast対応のスマートフォンやPCなどに組み込まれることになる。ただし、そうした「Auracastネイティブ機能」を搭載した機器が市場に出回るには時間がかかる。そこで、Bluetooth SIGは世の中にすでにあるLE...
昨年のInter BEEで開催された「Auracast Experience」の体験記事でも紹介したが、イベントで使用したスマホはAndroid 12が動作する「Pixel 6a」であり、LE Audio対応ではなく、スマホ自体もAuracastには対応していなかった。この時のシステムが明文化されたことになる。ここでポイントとなるのは、従来のBluetoothワイヤレスイヤホンはスマートフォン(またはPC)と1対1で接続するが、Auracast対応のBluetoothイヤホンはさらに外部の送信機とも接続された状況になるという点だ。つまり、Auracastの音声はスマホを経由してイヤホンに伝送されるのではなく、Auracastのレシーバーでもあるイヤホンが直接ブロードキャスト・オーディオを受信するというわけだ。この仕組みであれば、スマホがLE Audioに対応している必要はない。
スマホとイヤホンは、従来と同じプロトコルを使ったBluetoothで接続されており、スマホはイヤホンのコントローラーとしてのみ機能する形になる。そうすれば、iPhoneでも、古いAndroidスマホでも、Auracastアシスタント機能を利用し、Auracastシステムに加われるというわけだ。