」という曲を背景に流し、「アー」という悲鳴に近い高音が流れるタイミングに合わせておばちゃんが紙幣を見て悲鳴を上げています。悲鳴のタイミングに合わせてカットが変わり、次第におばちゃんが持っている金額が減って最後には小銭になっているのもポイントです。このムービーでは子どもが映った証明写真がしばらく何の動きもなく映し出されていますが、10秒付近で音楽に変化が出るのと同時に写真を押さえる指がズレ、隠されたピースサインが見えて笑いを誘います。このように、TikTokで人気の出るムービーにおいて、音楽は効果的な役割を果たしているとのこと。
特定の人気曲では多くのユーザーが似たコンセプトのムービーを作っていることが多く、「音楽とムービーの組み合わせがテンプレート化しています」とワン氏は指摘しています。ユーザーは面白いムービーを見ると、そのムービーをマネしたムービーを自分でも制作してみる傾向にあるとのことで、0から新しいムービーを作るのと比べ、手軽に自分もムービーを投稿できる点がユーザーの魅力になっているそうです。 ワン氏の仮説によれば、ムービーを投稿するTikTokユーザーの多くはTikTokを「ムービーのプール」として捉えており、TikTok内で多くのつながりを持とうとしていないとのこと。ユーザーの多くはあくまでも友人間でムービーを共有したいのであり、TikTok内でどれほど有名になったのか、TikTokでどのようなアカウントをフォローするのかといった点にはあまり執着がないとワン氏は考えています。
投稿されるムービーが非常に短いため、TikTokユーザーはほんの1~2分といったわずかな空き時間にアプリを開き、最初に表示されるオススメページにある数本のムービーを見ることができます。つまり、TikTokユーザーの多くはオススメページに表示された、顔も見たことのない遠く離れたユーザーが投稿したムービーを多く消費しており、TikTokを楽しむために特定のアカウントをフォローする必要がないというわけです。