今年1月時点では世界の上位30社のうち24社は米国の大手企業で、残りの6社も中国、サウジアラビア、台湾、韓国、デンマークの著名企業によって占められている。日本株の勢いが世界を席巻して隆盛を誇っていた時代は、今昔物語になりつつある。
このため、労働市場への新規参入を契機に投信積み立てによる資産形成を始める最近の若い働き手は、「円定期預金100%」という超保守的な金融商品はもちろん、日本国内の株式、不動産や債券だけに投資する「円建て100%」の商品を選ばずに、ある程度の為替リスクも取った上で、グローバルに分散投資を行うタイプの商品を選ぶ傾向が強いようだ。毎月積み立ての外貨建て投信購入によって発生する為替フローは、退職後の資産取り崩し時期に入るまでは国内外の景気循環や金融資産価格の上下動にあまり左右されない一方的な外貨買い・円売り圧力の発生源となる。このため、中長期的にみると循環的な円安局面での値幅を拡げる一方、円高局面での値幅を抑制する役割を果たす可能性が高い。今後、投信積み立て購入の仕組みを活用した日本国内の個人による海外投資のパイプの口径が一段と太くなって外国為替市場に無視することのできない需給インパクトを及ぼす規模に成長していく場合、通貨ペア別にみると恐らく「ドル/円」への影響が最も大きくなりそうだ。現在、国内の金融機関の間では、来年から始まる新NISAも含めた金融商品に流入してくる個人マネーの争奪戦が強まって
そのような状況下、日本の労働市場にこれから参入してくる若い働き手の面々が「自分の老後資金の積み立て先を自国内で探したい」と思うような魅力的な成長機会を生み出す日本経済の構造改革を政府が早急に進めなければ、現預金の形で滞留している1100兆円を超える個人マネーの海外引っ越しを単に手伝うだけの残念な結果になりかねない。 岸田首相は今年4月の経済財政諮問会議で表明し、6月に策定した「骨太の方針」に盛り込んだ「資産運用立国」を実現すべく、日本国内に「資産運用特区」を創設、海外のファンドマネージャーを招いて資産運用業界内での活発な競争を促す方針のようだ。今後の中長期的な円相場の先行きについて考える上で、「ホームカントリー・バイアス」が低いと言われている若い日本の働き手世代の老後資金の積み立て動向にも注目したい。*植野大作氏は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト。1988年、野村総合研究所入社。2000年に国際金融研究室長を経て、04年に野村証券に転籍。国際金融調査課長として為替調査を統括、09年に投資調査部長。同年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画、12月より主席研究員兼代表取締役社長。12年4月に三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社、13年4月より現職。05年以降、日本経済新聞社主催のアナリスト・ランキングで5年連続為替部門1位を獲得。
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