ギャンブル依存症が背景にあった「池袋通り魔殺人事件」

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雨宮処凛 ニュース

依存症,こわれ者の祭典,ギャンブル依存症

1975年、北海道生まれ。 作家・活動家。 2000年、 自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。 以来、「生きづらさ」についての著作を発表する一方、06年からは新自由主義のもと、不安定さを強いられる人々「プレカリアート」問題に取り組み、取材、執筆、運動中。メディアなどでも積極的に発言。311以降は脱原発運動にも取り組む。 2007年に出版した『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版/ちくま文庫)はJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。 著書に『14歳からの原発問題』『14歳からわかる生活保護』『14歳からわかる生命倫理』(河出書房新社)、『小心者的幸福論』(ポプラ社)、『排除の空気に唾を吐け』(講談社新書)、小説『バンギャル ア...

ちなみに私が 依存症 について詳しく知ったのも「 こわれ者の祭典 」がきっかけだった。ちょうど田代まさし氏が何度目かの逮捕をされた頃に開催された「 こわれ者の祭典 」でその話題になったのだが、当時の世間は田代氏にドン引きムード。そのことに触れた月乃光司さんは、そうやって社会的信用を失って孤立していくことこそが 依存症 の症状で、それを責めるのは一番意味がないという内容のことを力説。その手の話を初めて聞いた私は深く納得したのだった。その人の名は、造田博。99年に起きた「 池袋通り魔殺人事件 」の犯人だ。犯行当時、東京の新聞販売所に住み込みで働いていた造田だが、出身は岡山県。ここで『そんな生活が一変したのは、80年頃、同居していた祖父母が他界したことによる。遺産が入った父親はパチンコや競艇などのギャンブルにハマり、ついで母親も同じような状態になってしまうのだ。しかし、そんな彼の夢は両親の借金によって奪われる。ギャンブルに明け暮れた両親が消費者金融や知人から重ねた借金総額は5000万円。借金取りが押し寄せる家に両親は寄り付かなくなり、深夜、造田に食費だけ渡すと姿をくらます生活が一年ほど続き、彼が17歳の頃、つい

ちなみに私が 依存症 について詳しく知ったのも「 こわれ者の祭典 」がきっかけだった。ちょうど田代まさし氏が何度目かの逮捕をされた頃に開催された「 こわれ者の祭典 」でその話題になったのだが、当時の世間は田代氏にドン引きムード。そのことに触れた月乃光司さんは、そうやって社会的信用を失って孤立していくことこそが 依存症 の症状で、それを責めるのは一番意味がないという内容のことを力説。その手の話を初めて聞いた私は深く納得したのだった。その人の名は、造田博。99年に起きた「 池袋通り魔殺人事件 」の犯人だ。犯行当時、東京の新聞販売所に住み込みで働いていた造田だが、出身は岡山県。ここで『そんな生活が一変したのは、80年頃、同居していた祖父母が他界したことによる。遺産が入った父親はパチンコや競艇などのギャンブルにハマり、ついで母親も同じような状態になってしまうのだ。しかし、そんな彼の夢は両親の借金によって奪われる。ギャンブルに明け暮れた両親が消費者金融や知人から重ねた借金総額は5000万円。借金取りが押し寄せる家に両親は寄り付かなくなり、深夜、造田に食費だけ渡すと姿をくらます生活が一年ほど続き、彼が17歳の頃、ついに失踪してしまうのだ。そうしてギャンブルによって両親が消えた17歳から事件を起こすまでの6年間、彼は嫌というほど辛酸を舐め尽くす。猛勉強して入った進学校は学費が払えず、すでに退学になっていた。親戚を頼ろうにも、両親が借金をしているので頼れない。兄を頼って広島県福山市に行きパチンコ屋でバイトを始めたのを皮切りに、彼は全国を、職と住む場所を求めて漂流していく。ついた仕事はビルの清掃や自動車下請け工場、土木作業員、船の塗装、機械工場など。どれも住み込みだ。そうして仕事のない時期は駅や公園でホームレス生活。「ネットカフェ難民」などまだ存在しない90年代なかば、20歳そこそこの若きホームレスを、この国の誰一人として助けなかった。もし、両親がギャンブルにハマらなければ。造田の未来が潰されることはなく、よって事件で二人の命が奪われることもなかっただろう。あるいは、もし両親がギャンブル 依存症 の治療を受けられていたら。しかし、当時の日本では 依存症 に対する理解もなく、つながれる場も絶望的に少なかったことが予想される。水原氏の事件をめぐる報道を見ていると、ギャンブル 依存症 への理解は以前より深まりつつあるように思える。決して本人の「甘え」などではなく、精神論云々ではどうにもならないものであるという情報が広まりつつあるのを感じる。それはいいことだが、そんな報道を見ていて、ふと25年前の悲劇を思い出したのだ。殺害された人たちも、それぞれの夢を叶えたり、自らの道を進むなりしていただろう。

依存症 こわれ者の祭典 ギャンブル依存症 池袋通り魔殺人事件

 

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