侵攻2年目の昨年6月から半年間、ウクライナ軍は反転攻勢を試みたが、望んだ成果を得られなかった。この際にゼレンスキー政権が奪還した占領地の規模よりも、ロシア軍が今年に入って掌握した面積の方が上回っているもようだ。
西側諸国の支援の遅れが響き、ロシア軍が前線で優勢に立ったことは、ウクライナ軍も認識している。軍トップのシルスキー総司令官は4月下旬、東部ドネツク州の3集落から撤退したと認めた上で、敵軍が「戦術的成功」を収めていると通信アプリ「テレグラム」で指摘した。 ウクライナ国防省情報総局のスキビツキー副長官は2日の英誌エコノミスト(電子版)のインタビューで「戦争は交渉によって終わらせることができる」と述べ、軍事力だけでロシアを駆逐するシナリオは難しいと示唆。目下、ドネツク州の要衝チャソフヤル防衛が焦点だが、スキビツキー氏は、陥落は「時間の問題」と悲観した。 ウクライナ軍が反転攻勢で昨年8月に奪還した南部ザポロジエ州ロボティネでは、今も激しい攻防が続いている。ロシア通信によると、同州の親ロシア派幹部ロゴフ氏は1日、「ロシア軍がロボティネに国旗を掲げた」と主張した。多大な犠牲を伴って取り戻した領土を再び奪われることがあれば、ウクライナ側の士気に大きく影響しそうだ。
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