株式から債券まで大小さまざまなオプション取引で恐怖感が薄れる中、株価暴落に対するヘッジ需要は、ある指標では9年ぶり低水準となった。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のクロスアセット・ストレス指標は市場の穏やかさを示唆している。 しかしその後、好調な企業決算や揺るがない景気拡大によりセンチメントは変わった。投資家はデータを重視する米金融当局をもはや敵視していない。 ウォール街は落ち着きを取り戻した。S&P500種株価指数は3週連続で上昇。米国債も2週連続で上っげた。「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数の予想変動率指標であるVVIX指数は2015年以来の低水準となり、株価急落に対する投資家のヘッジ意欲後退が示唆された。
落ち着きが戻ったことは強気相場の持続を示唆している。しかしウォール街の強気派は過去、株価急落への備えを解除して大やけどを負っている。また経済データはまちまちで、専門家も景気循環の方法を見極めるのは難しい。 ジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は予想を上回るインフレ率が発表されれば直ちにヘッジは戻るだろうと述べた。4月の米消費者物価指数(CPI)は15日に発表される。エコノミストは前月比0.4%上昇と、3月から横ばいになると予想している。 「認識されるリスクのレベルが低ければ低いほど、ショックに対する市場の反応も大きくなる」とした上で、「言うはやすく行うは難しだが、重要なのは周りの市場の恐怖ないし満足感が行き過ぎている時を見極め、適度な規模で反対方向に動くことだ」と説明した。
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